人は何のために「仕事」をするのか、なんで「仕事」をしなければならないのか、考えたことがありますか?
あなたは、何のために「仕事」をしているのですかと聞かれれば、もちろん自分が生きていくため、自分の家族を養っていくため、と答えるかもしれませんね。
人間は(動物も)、食べ物を摂取しないと生存できないように運命づけられています。
そして、雨風を避けるための家や衣服も必要です。
そして、だんだん近代化していくと、家電製品も車も欲しくなります。
自分や家族が生き続け、より良い生活を送るためにはお金が必要です。
そして、お金を得るためには「仕事」をする必要があります。
それでは、人間は生き続けるためだけに「仕事」をしているのでしょうか。
野生動物は生存のためだけに営みを続けているように見えますが、どうも人間の場合はそれだけではなさそうです。
今回はその生き続けるためだけではない「仕事」をする意味を考えてみたいと思います。
目次
1.一生生活に困らないお金を手に入れたら、人は「仕事」をしなくなるのか?
こんなことを想像してみてください。
あなたは今、きれいな海に囲まれた、温暖な気候の無人島にいます。
豪華な家もあり、最新の便利な家電製品がその家には備え付けられていて、食事もつねに必要なだけ提供されます。
テレビゲームもし放題ですし、プールで好きな時に泳ぐこともできます。プールサイドではカクテルも飲めます。
何不自由なく一生暮らしていけるようになっているし、仕事もする必要はありません。
ただ、この島にはあなた一人しかいないのです。
家族もいません。
そして、この島から出る手段はありませんし、だれも訪ねてきません。
この状況は、生存するということを考えたら、一生なんの心配もする必要がありません。
何でもあなたが好きなものが手に入ります。
でももしあなたがこの状況に置かれたら、寂しくないですか?
温暖な南の島なのに、何か寒々とした感じがしないですか?
どんなに人間関係に疲れていても、人が嫌いになっていても、この状況になったら、どんな人でも人に会いたくなるし、人とかかわることが恋しくなるのではないでしょうか。
人は生存することができさえすればいい、というものではないようです。
2.人は、生きる手段+αの意味を「仕事」に求めている
皆さんは仕事をすることによって、どんなことを得たいと思っているでしょうか。
もちろん、生きるためにお金を得たいと思っていると思いますが、それはとても当然のことです。
お金がなかったら食べ物も買えず、野垂れ死んでします。
でもお金を得る以外に、「仕事」をすることによって得たいと思っていることがあるはずです。
あるいは得ることができたらいいなと思っていることがあるはずです。
以前、この質問を40名ぐらいの大学生にしたとき、「仕事」をすることによって得たいものとして下記のことが出てきました。
お金、充実感、やりがい、達成感、人の役に立つこと、感謝、評価されること、社会貢献、自分が有能であることをしょうめいすること、自己の成長、経済発展、社会を良くすること、楽しさ、仲間など。
どうでしょう。あなたの感覚と一致するでしょうか。
人は、「誠実に欲張り」なのだと思います。
生活していける条件が整えば、それを超えた意味あることを実現したいと考えるようになるのですね。
いわゆる「自己実現」と呼ばれるものです。
そこが、人間と動物とを決定的に分けている部分だと思いますが、いかがでしょうか。
3.「仕事」をする本当の意味
生存のためにお金を得ることも含めて、「仕事」をすることによって得たいと思っているほとんどのことは、基本的に人に対して本気で働きかけていくことで得ることができるものばかりです。
お金も感謝も、やりがいや自己の成長でさえも、人に働きかけることによって獲得でき、実感できるものだと思います。
「仕事」をする本質的な意味は、「誰かの願い(真のニーズ)を叶えるために、自分ができる限りの価値を提供すること」と言えると思います。
誰かが実現したいと思っていることを叶えてあげるために、優れた価値を提供できたら、その人は喜んでくれてお金という形で感謝を返してくれる。
お金をくれるから、相手が望むものを提供するというふうに一般的には考えがちですが、お金目当てだといずれ提供する価値の質が上がらなくなってしまうと思います。
やはり、相手が望むことに対して最大限の価値を提供したときに、結果として最大限の感謝と報酬が返ってくると思いますし、そう信じていきたいですね。
「仕事」は「誰かの願い(真のニーズ)を叶えるためにできる限りの価値を提供し続けること」と考えると、「仕事」は究極の思いやりと言っても良いと思います。
「仕事」を本気でするということは素晴らしいことだなと思います。
4.自分にとって価値ある「仕事」をするためにはどうしたらよいか?
もちろん、「仕事」をとおして報酬を得ることはとても尊いことですが、できたらそれ以外に得られるものを、つかみ取りたいですよね。
では、そのためにはどうしたらよいのか?
「仕事」とは、「誰かの願い(真のニーズ)を叶えるために、できる限りの価値を提供すること」です。
ということは、「仕事」を自分にとってできるだけ価値あるものにするためには、あなたが価値を提供したいと思う誰かの真のニーズを満たしてあげればいいのです。
あなたが価値提供したいと思っている人すら気づいていない、その人が本当に求めていることを実現してあげられたら、こんなに素晴らしいことはありません。
ということは、あなたはまずあなたが価値を提供したいと思っている人の願い(真のニーズ)をキャッチしなければなりません。
でも人の願い(真のニーズ)をとらえることは、決して容易なことではありません。
営業をやっている人の仕事の大半は、お客様の願い(真のニーズ)を把握することについやされているはずです。
私が以前勤めていたメーカーの優れた営業マン何人かにインタビューをしたことがありましたが、やはりある営業マンはお客様に聞いて、聞いて、聞きまくっていましたね。
「そんなことホームページに書いてあるから、それぐらい調べて来いよ」と言われるぐらい、基本的なことも含めて事業や業務の状況を聞いていました。
また、ある営業マンは雑談の中でお客様があるコンサートのチケットを取ろうとしたらうまく取れなかったという話を聞いて、自分のつてでチケットを手に入れて渡すということまでしていました。
やはり優秀な営業マンは、お客様の仕事上の願いだけではなく、プライベートの願いについても自分にそれを叶える力があれば、叶えてあげたいと純粋に思うようです。
誰かの役に立ちたいという想いが強い人がやはりいい仕事をしているのだと思います。
ではどうしたら、相手の願い(真のニーズ)をうまくキャッチできるようになるでしょうか。
そのためには、自分の願い(「本当にやりたいこと」や「なりたい自分」など)が何かを明らかにするとよいと思います。
自分の願いが明らかになると、他人の願い(真のニーズ)をキャッチする感度が高まります。
以前は貧困をなくそうとしている人は偽善者なんじゃないかと思っていたのが、災害などを経験してやはり「人を助けたい」という自分の願いに気づいたとき、以前は理解できなかった貧困をなくそうとしている人の願いがわかるようになると思います。
ですから、まずは自分の願いは何なのかを、とりあえずで良いので明確にし感度を高めましょう。
そして、相手に本音で話してもらえるように信頼関係をつくるようにしましょう。
信頼関係をつくるには、相手を理解しようと関心を向け、問いかけを重ねていくことです。先に話をした営業マンがお客様に聞いて、聞いて、聞きまくっていたように。
その問いかけの中で相手の願い(真のニーズ)を感じ取って、その願いを実現するためにあなたができることを精一杯やってください。
そうすると、「仕事」はあなたにお金を与えてくれるだけではなくて、もっとたくさんの価値あることを与えてくれるに違いありません。
まとめ
「仕事」は「誰かの願い(真のニーズ)を叶えるために、自分ができる限りの価値を提供すること」です。
相手の真のニーズを満たしてあげることは決して簡単なことではありませんが、これを実現しようとすることは究極の思いやりだし、それに対して感謝としてお金をいただける。
「仕事」は、「究極の思いやり」と「感謝」の循環です。
良い仕事をすれば、そこに係ったすべての人がうれしくなり、多くのものを得られるはずです。
本気で「仕事」をすることとそのものが、社会貢献だといっても過言ではありません。
「仕事」は一生追求するだけの価値あるテーマですし、本気で取り組めば私たちを幸せにしてくれるはずです。
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