転職希望者や求人企業の採用担当者の方とお会いして、そのニーズなどを聞かせていただいています。
そうした中で、転職希望者の転職に踏み出すきっかけや転職で実現したいこと、求人企業の採用担当者の方が求めている職種や求める人材像などの動向について、実際にお聞きした内容に基づきお伝えします。
そして、企業が共通して求める人材の要件について、まとめてみたいと思います。
目次
1.転職希望者の転職へのきっかけや転職で実現したいこと
最近お聞きした転職へのきっかけは、①現在働いている会社の業績不振、②上司又は経営者とうまくいかない、③自分がやりたいことがわかりその実現に踏み出すの3つです。
以前、このブログでご紹介した当社のアンケート調査『独自調査:今転職で最も重視するのは「給与水準」だった』の「質問1:現在の仕事に対する不満やストレス」の回答の上位1位、4位、5位と一致しています。
①会社の業績の悪化に伴う、待ったなしの転職
現在勤めている会社の業績不振が転職へのきっかけになったAさんは、建物や設備の施工管理している会社に勤めています。
やはり中小規模の企業の場合、今まで売り上げの半分ほどを占めていた契約が打ち切りになるというようなことがあると、非常に業績に大きな影響を与えることになります。
この場合何らかのリストラがいずれ実施されるのは明らかなので、Aさんは転職活動に踏み出しました。
Aさんは会社の中でもかなり早く行動を開始されたようですが、他の社員の方は目の前の仕事も当分はあるということで、具体的な行動はとっていないようです。
会社の現状に対する見方や反応は、人それぞれということですね。
そしてAさんは、今まで培った配管を中心とする設備施工管理のキャリアと資格を活かして、経営の安定した企業に転職しようとしています。
②オーナー社長とうまくいかず、将来展望が見える会社への転職
Bさんは会社の中でも重要な位置にいる方で、現在社長の直下で主に法務の立場から社内整備を進められています。
ただ、この社長さんがオーナー社長さんで、社長さんも確認の上で決めたBさん起案の規定や社内ルールなどを社長さん自らが守らない、破ってしまうということが常に生じてしまいます。
社長さんが規定やルールを守らないので、社員の方たちも右へならえで、本来の目的の社内の統制が実現しないということが起こっています。
よくある話ですが、オーナー社長さんは自分がルールと考えがちな方が多く、自分が決めたルールでも自分は例外と考えるケースも多いようで、結局社員も同調してしまい、何も徹底されないということになってしまいます。
Bさんも自分が苦労して策定した規定やルールが守られず、努力が報われないことでその会社の中での自分の存在理由に疑問を持ち、転職活動に踏み切りました。
Bさんの素晴らしいところは、自分の顧客である上司や社員のニーズをしっかりとらえ、そこから本質的な目的をイメージして、その目的から逆算して業務を組み立て、実績をしっかりとつくることができることです。
見習いたい姿勢ですね。
③ビジネスコーチングをきっかけとした転職
自分がやりたいことがわかりその実現に踏み出したCさんのケースですが、これは私の良く知るビジネスコーチからお聞きした事例です。
Cさんは事務をどちらかというと淡々とこなす仕事をされていました。
普段は同僚とのコミュニケーションも少ないのですが、ビジネスコーチングをとおして、定期的な同僚との読書会でディスカッションをすることが楽しくて、とても喜びを感じることにあらためて気づきました。
Cさんは、同僚とコミュニケーションを取りながら進めていく仕事や人と向き合っていく仕事が自分には合うのではと思い転職に踏み切りました。
そして、Cさんの場合はすでにコンサルティング会社の人事職への転職を実現し、とても生き生きと楽しく働いているそうです。
ビジネスコーチングで自分のやりたいことに気づき、自分らしく働ける環境を手に入れた理想的なケースですね。
おめでとうございます!
2.求人企業の採用担当者の方が求めている職種や求める人材像
最近求人企業から依頼のあった職種は、①Webコンサルタント、Webデザイナー、②コンサルティング(提案型)営業、③ビルの内装工事や原状回復の施工管理などです。
①IT企業からの求人
このIT企業は、美容医療に関する口コミサイトを自社運営していて、美容医療のクリニックを主な顧客としています。
このサイトの運営とは別に個別のクリニックからの依頼に基づき、主にそのクリニックの業績向上のためのWebマーケティング戦略を立案・実施するコンサルティングも強化していて、業績を拡大しています。
口コミサイトをみてこのクリニックが良いと判断した人が、そのサイトをとおしてクリニックに予約し、施術をした料金からフィーをもらう、またはクリニックに対して行ったWebマーケティング戦略によって売り上げがアップした分からコンサルティングフィーをもらうなど、成果報酬がビジネスモデルの基本になっています。
結果にコミットするコンサルティング、売り上げが上がるデザインを志向していますので、そうした結果を出すことにチャレンジできるWebコンサルタントやWebデザイナーを求めています。
ですから、社内の体制は学歴や年齢は全く関係ない実力主義です。
とはいえ、結果だけを求めているのかというとそうではなく、ちゃんとした考え方と技術を持ったクリニックが正当に評価される社会を実現したいということを第一に考えていて、とかく疑念の目で見られることが多い美容医療クリニックを主な顧客としながら、逆に誠実に事業を行っています。
したがって、求める人材もアグレッシブに結果にチャレンジしたり、成長することにどん欲な人を求めていますが、一方で誠実に顧客に向き合い、真摯にPDCAを回せる人を求めています。
社員の働き方にも大変気を配っていて、業務のアサインにも一定のルールを決め、残業時間もWebコンサルタントであっても月に30時間を少し超える程度で、Webデザイナーは30時間を超えることはないそうです。
②セキュリティシステム会社からの求人
セキュリティシステムの提案・施工で急成長しているある企業からのコンサルティング(提案型)営業の求人です。
オートロックシステム、入退室管理システム、防犯システムなどを主にマンションの管理組合や管理会社に提案し、施工もしています。
マンションのオートロックの改修工事の受注では5年連続NO1で、業界ではかなりの実績と信頼のある会社です。
10年ほど前に二代目の社長に代わり、提案営業に力を入れ、急激に業績を拡大しており、現在100名ほどの社員数ですが、これを近いうちに200名ほどに持っていく予定です。
40数年の歴史のある会社ですが、若い社員が育っていて、ベンチャーのような雰囲気のある会社です。
需要が拡大しているのに営業力が追いついておらず、営業を強化したいと考えていて、若い営業職も求めていますが、数年でマネージャーになってくれる中堅の営業職も求めています。
この会社も学歴は一切関係ありません。
社長が人材に求める資質は、もちろん自分で仕事を組み立てて提案ができるというスキルも必要ですが、最も重視しているのは「素直さ」だそうです。
やはり素直な人は、いろいろなことを吸収して成長できますからね。
③業界最大手のビルメンテナンス会社からの求人
業界でも最大手と言ってもよいビルメンテナンス会社からの、ビルの内装や現状回復の施工管理の求人です。
この会社も約50年の歴史があり、非常に安定した経営体質(名証2部上場)で、じわじわと成長しています。
この会社が管理している都心の大型ビルが勤務先で、テナントからの内装や原状回復の依頼を受け、見積を提案して、実際の工事を管理するという仕事です。
ビルで働く警備や清掃スタッフのマネジメントも求められます。
工事現場での施工管理を経験したことがある方を求めており、建築士や施工管理士の資格があると採用条件も考慮されます。
求める人材像としては、いろいろな要望や状況を判断して、自ら実行し、適切な時期に報連相ができる人が求められていて、順応性と協調性も求められています。
3.企業が共通して求める人材の要件
転職希望者の動向については、転職に踏み出すきっかけは様々ですが、転職にあたっては自分の今までのキャリアを活かしたり、好きなこと・やりたいことを実現したいと考えています。
そんな中で、現在抱えている仕事上の課題も転職をすることによって解決したいとも考えています。
また求人企業は、事業領域や業績の拡大に伴い人材を必要としていて、企業が共通して人材に求めている要件は下記の5点にまとめられると思います。
- 自分で判断できる判断力を持っている
- 自分で仕事を組み立て、実行できる
- 結果をだすことにコミットできる
- 周りの人と協力しながら、チームで仕事ができる
- 基本的には素直で、誠実な姿勢を持っている
企業はやはり、周囲としっかりコミュニケーションと取りながら、自律的に仕事を進められる人材、マネージャーを求めていることがわかります。
弊社では、自力で優れた成果を生み出せる「自律型人材」になるための育成プログラムを社会人の方に提供していますが、「自律型人材」とは自分で決めて、行動し、周りを巻き込みながら自力で優れた成果を生み出し続けられる人材と定義しています。
上記の姿勢に加えて、企業は誠実さ、真摯さ、素直さなど仕事にしっかりと向き合う資質も求めています。
企業が採用したい人材に求めていることは、決して低くはありませんね。
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