前回のブログでは、あなたが役に立ちたいと思っているお客様や上司などの期待に応えようとすることが、あなたが良い仕事をして、経済的にも精神的にも豊かな人生を手に入れるために、とても重要な心がけだということをお伝えしました。
⇒相手の期待に応える仕事をするには① ~仕事の本質的な仕組み~
そして、相手の期待に応えるためには、「仕事の本質的な仕組み(メカニズム)」を理解することが大事だということもお伝えさせていただきました。
仕事の本質的な仕組み(メカニズム)とは、
「相手の本当の願いを叶えるために、できる限りの価値を提供し、相手に満足してもらえたら、お金を伴った本当の感謝が返ってくる循環」
のことです。
ポイントは、相手の「本当の願い」をしっかりとらえることと、その願いを叶えるために、今の自分にできる最大限の価値を提供しようと本気で行動できるかということです。
今回は、相手の「本当の願い」をキャッチするためにはどうしたらよいのかということについて、考えていきたいと思います。
目次
1.相手に心を開いてもらい、本音を語ってもらう
お客様や上司が本当に願っていること、求めていることを知るためには、本音で語ってもらう必要があります。
相手が建て前で話しているうちは、相手の本当の願いをキャッチすることはできません。
当り前ですよね。
それでは、相手に心を開いてもらって、本音を語ってもらうためにはどうしたらよいのでしょうか?
相手に本音を語ってもらうためには、相手との間にまず信頼関係を結ぶ必要があります。
信頼関係というとやや大げさですが、言ってみれば、「安心して、気兼ねなく、思っていることを言い合える関係」と考えてください。
①信頼関係を結ぶ
↓
②相手が本音で話してくれる
↓
③相手の本当の願い(真のニーズ)を知るための材料が得られる
↓
④相手の本当の願いを想定できるようになる
という構造になります。
③と④がちょっとわかりにくいかもしれませんね。
お客様や上司が本音で語ってくれたとしても、必ずしもお客様や上司が本当に願っていることをストレートに知ることができるわけではありません。
なぜならば、本人自身が本当に自分が何が欲しいのか、何を本当に願っているのかを分かっていないケースが多いからです。
お客様なら「なんとなくこんなことができたらいいんだけどな」「ここに困っているんだけど、対策が分からなくて」とか、上司なら「とにかくまずこんな感じでやってみて」とかあいまいな指示が多く、最終的に自分が何が欲しいのか、何がゴールなのかわかっていないことが多いのです。
もちろん、これらの発言は本音で語っているのですが、自分が本当に願っていること=正解をわかっているわけではないんですね。
ですから、お客様や上司から聞いた本音という材料をもとに、それらを組み合わせたり、統合したりして、本当はこんなことを欲しがっているんじゃないかと想定して、それを実現するためにできる限りのことを考えて、「こういうことではないですか」とあなたが形にしてあげると、「そうそう、それが欲しかったんだよ!」「期待していたのはそういうことだよ!」ということになる訳です。
繰り返しになりますが、お客様や上司に最大限の価値を提供するために、相手が本当に願っていることをできるだけ正確に想定する必要があります。
そしてそのためには相手に本音で語ってもらう必要がありますし、本音で語ってもらうためには相手と信頼関係を結ぶ必要があります。
それでは、どうやったら相手と信頼関係を結ぶことができるのでしょうか?
次に信頼関係を結ぶ方法をお伝えしたいと思います。
2.人が行っている2つのコミュニケーション
信頼関係を結ぼうと考えているときに、人が2つのコミュニケーションを同時に行っているということを知ることが大事です。
2つのコミュニケーションとは、「意識コミュニケーション」と「無意識コミュニケーション」です。
意識コミュニケーションとは、会話や表情などを通じて行うコミュニケーションで、一般的にコミュニケーションと言えば、この行為を指しています。
一方で無意識コミュニケーションというのは、身体で感覚的に感じるコミュニケーションのことです。
誰かとコミュニケーションを取っていて、こんなことがありませんか?
表面上は楽しく、フレンドリーに話しているのに、何となく不安や不快感を感じて、イヤな感じがするなど。
無意識コミュニケーションというのは、自己防衛本能から相手が敵か味方か、安心をもたらす人か不安をもたらす人か、快か不快かを無意識のうちに判断しているコミュニケーションです。
「生理的にイヤだ」という表現もありますよね。
意識コミュニケーションも無意識コミュニケーションもどちらも大切ですが、信頼関係を結ぼうとした時に大きな影響を持つのは、無意識コミュニケーションです。
表面上(口頭上)ではなく、無意識レベルや本能レベルで信頼関係ができている状態を「ラポールがとれている」と言います。
ラポール(本能レベルでの信頼関係)がとれていると、本音で話すことができるようになりますし、安心感があるので逆にケンカをしても大丈夫な関係になれます。
それでは、ラポール(本能レベルでの信頼関係)を結ぶにはどうしたら良いのでしょうか?
その方法についてお伝えしたいと思います。
3.ラポール(本能レベルでの信頼関係)を結ぶ方法
①ラポールの土台
ラポールを結んでいく上でとても大切なことがあります。
まず土台をしっかりつくっていく必要があるのです。
この土台が無いと、ラポールを築いていこうと思っても築いていけません。
相手と向き合う際の基本的な姿勢で、それは「相手の存在を認める=存在承認」ということです。
「あなたの存在を認めているよ、あなたにいて欲しい」というメッセージで、人とラポールを結ぶ上での土台です。
それでは、どうしたらこの「ラポールの土台」をつくることができるのでしょうか?
それはとても簡単です。
「あいさつ」です。
「あいさつ」をしっかりすることで、「私はあなたの存在を認めていますよ」といことをそのつど相手に伝えることになり、ラポールの土台をつくっていくことができます。
あいさつに加えて、一秒でできる次のような方法もあります。
・会釈
・アイコンタクト
・一声かける(名前を読んであげるとなお良い)
・合図を送る
・触れる(背中をたたく、握手など)
これらを進んで、少し暖かさを込めて伝えると、よりラポールが深まります。
周りの人とラポールを少しでも結んでいきたいなと思ったら、ぜひ「あいさつ」を重ねていってください。
ラポールの土台ができていくことを楽しみにしながら。
②ラポール(本能レベルでの信頼関係)の原理
あいさつでラポールの土台をつくりながら、ラポールを更に深める人との向き合い方がラポールの原理です。
【ラポールの原理】
①人は、自分のことを理解しようとする(ありのままに知ろうとする)人を信頼する
②人は、自分の大切にしているものを大切に(尊重)してくれる人を信頼する
③人は、共通部分を認識したり、感じ取ることで信頼度を高める
もっとも大事なのは、②の相手が大切にしているものを尊重するということです。
自分が大切にしていること、自分が大切にしている想い、自分が大切にしている人を本当に尊重してくれる人がいたら、私たちはその人を信頼しますよね。
家族と付き合う時、友達と付き合う時、上司と付き合う時、部下と付き合う時、同僚と付き合う時、お客様と付き合う時、外国人と付き合う時、その人それぞれが大切にしているもの、特にその人の価値観や想いを尊重することが、信頼関係を深める上では、とても大事な向き合い方です。
そして、相手が大切にしているものが分かり、自分もそれに心を動かされ共感し(③)、何かできることがあれば最大限のことをしようとすればよいと思います。
大事なことは相手が大切にしているものを見出すことですが、そのためには①の相手のことをありのままに理解しようとすることです。
固定観念や思い込みを持ちながら相手を知ろうとすると、相手が本当に大切にしていることが見えなくなってしまいます。
ですから、評価しようとか、判断しようとかいった思いを持ちながら、理解しようとはしないということです。
- 相手をありのままに知ろうとする
- 相手が大切にしているものを尊重する
- 相手が大切にしているものに共感したら、その共感の気持ちを相手に伝える
こうした向き合い方を続けているとどんな人ともラポールが結べるようになると思います。
ラポールが高まると相手の「本当の願い」が分かるようになるのです。
そして、相手の「本当の願い」がわかったら、それに対して自分ができる限りのことをしようとすればいいのです。
それが相手の期待に応える仕事をすることにつながります。
まとめ
あなたが、お客様や上司の期待に応える仕事をするためには、まず相手が本当に願っていることをできるだけ正確に想定する必要があります。
そして、相手の願いを想定するためには、相手に本音で話してもらう必要があります。
さらに、相手に本音で話してもらうためには、相手とラポール(本能レベルの信頼関係)を結ぶ必要があります。
ラポールを結ぶためには、あいさつとラポールの原理の実践がとても有効です。
人と良い関係をつくり、価値ある仕事をするための、究極の人との向き合い方と言っても良いかもしれません。
1人でも多くの方の心を開き信頼関係を結ぶために、あいさつとラポールの原理を楽しんで実践してみてください。
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