どうせ転職するなら、「優良企業」に転職したいですよね。
就職の環境が厳しい時期に、あまり優良ではないことがわかっていながら、しかたなく就職された方も少なからずいると思います。
今は本当に人手不足で、すべての企業で人を求めていると言ってもよいかもしれません。
転職の難易度は必ずしも下がっていませんが、選択肢が広くなったことは良いことだと思います。
転職活動をしていて内定を出してくれた企業。
事業内容は面白そうだし、担当する職務は自分が希望している内容だし、福利厚生も含めて採用条件も悪くない、会った面接官の方たちはみんなフレンドリーで良さそうな人たちばかり。
「でも、本当に優良企業なの?」という一抹の不安は残りますよね。
ということは、転職を希望される方にとっては、先ほどの外からわかる条件以外に「優良企業」かどうかを判断するポイントがあるということです。
実際にその企業で働く人にとっては、上場している、有名、ブランド力がある、面白い事業をやっている、売り上げが拡大している、給料が高い、福利厚生が整っているなどのどちらかというと表面に現れている部分以外が、「優良企業」かどうかを最終的に判断する重要なポイントになっているということです。
一概にこういう企業が「優良企業」だとは言えませんが、転職希望者から見た「優良企業」とはどういう企業なのか、そしてそうした企業を見極める方法について考えていきたいと思います。
目次
1.転職希望者から見た「優良企業」とは?
もちろん、上場している、売り上げが伸びている、仕事の内容が自分に合っている、給与水準が高い、休みがしっかりとれる、福利厚生が充実しているなどは、入社を決めるときのとても大事なポイントです。
たしかに上場していて、社会に必要とされる事業を行い、業績が拡大していたら一般的には「優良企業」といってもよいと思いますが、実態はブラックという企業も少なくありません。
転職希望者にとっては、どんなに表面的にわかる条件が整っていても、企業の外からは見えない部分がやはり重要ということになりますよね。
それでは転職希望者にとって、どんな企業を「優良企業」といったらよいのでしょうか。
ポイントは、「社員を大切にしている」かどうかです。
社員を、業績を上げるための道具と考えているのか、社会から必要とされている事業を展開するためのパートナーと考えているかです。
社員を大切にするといっても、社員にやさしくするということとは少し違います。
社員を大切にするとは、社員が自分自身を最大限に活かし、迷いなく自力で優れた成果がスムーズに上げられるように、社内環境を整えたり、マネジメントをしたりすることです。
社員が気持ちよく、自分の創意工夫で成果を上げられるようになることを第一に考えている会社を「優良企業」ということができます。
ただ一方で、そういう「優良企業」は社員に仕事に対する厳しさも求めます。
子供に対して、自立を求め、甘やかすことはしないお父さんやお母さんのような感じだと思います。
一人前に育って、人の役に立って欲しいと考えているのですね。そして人に価値を提供してお金を稼いで、家を豊かにして欲しい。
豊かになれば、またそのお金を使って人の役に立つことをして、ますます多くの人が繁栄していくということを思い描いている会社が本当の「優良企業」だといえます。
ですから、転職希望者や社員にとって「優良企業」とは、社員が迷いなく、自分自身で優れた成果を上げられるように社内の仕組みを整えている会社といってよいでしょう。
では、具体的にどんな社内の仕組みが整っていたら、「優良企業」と言えるのでしょうか。
それを見ていきましょう。
2.「優良企業」の4つの条件
ポイントは、社員がなるべく迷わず判断し、本来の業務に集中でき、優れた成果が生み出せるようにしているということです。
そこには大きくいうと、4つの条件があります。
①方針を明確に打ち出している
第1のポイントは、社員がいろいろな判断のするときになるべく迷わないように、方針を明確にしているということです。
具体的には
(1)企業運営の軸である企業理念を明確にしている
(2)その理念を実現するための中期経営計画を社員にちゃんと理解させている
(3)チーム目標とそれを実現するための戦略・戦術が明確になっている
(4)社員にとって欲しい行動を行動指針や行動規範にまとめている
(5)社員に守って欲しいルールや規程をきちんと定めている
ということになります。
②安心して働ける環境をつくっている
第2のポイントは、社員が余計なことにわずらわされず、本来やるべきことに集中するためには、安心して働ける環境をつくっているということです。
具体的には
(6)部門間の連携がうまくいくように気を配っている
(7)わかりやすい、公正な評価をしている
(8)パワハラやセクハラなどのルール違反に対しては厳正な態度で対処している
(9)生産性を落とすような長時間労働を抑制している
(10)育児や介護を抱える社員に対して、業務が続けられるよう適切な措置を行っている
などです。
③メンバーが自力で成果が上げられるように、マネジャーは適切な支援や指導ができる
第3のポイントは、マネジャーが、メンバーが自律的に働き、優れた成果を上げられるように支援したり、指導したりすることができるということです。
社員はキャリアなどによって、すべての人が自律的に働いて、成果を上げられるというものではありません。
マネジャーはそこを補うのが、大きな役割です。
具体的には
(11)チームメンバーが適切な目標とアクションプランを設定できるよう支援している
(12)チームメンバーの業務遂行状況を積極的に確認し、ネクストアクションを合意している
(13)チームメンバーが目標を達成できるように必要な支援をしている
(14)チームメンバーに業務指示をするときは、その業務の本質的な目的や意義を伝えている
(15)チームメンバーが自分の業務の達成状況や経験から気づきや学びが得られるように、適切な問いかけをしている
などができるということです。
④風通しの良い組織風土をつくっている
第4のポイントは、風通しの良い組織風土です。
情報がスムーズに流れたり、コミュニケーションがストレスなく取れたりということです。
具体的には
(16)業務を遂行するのに必要な情報がタイムリーに伝えられている
(17)報告や相談がしやすい
(18)チームメンバーからの意見やアイデアを傾聴し、生かそうとしている
(19)マネジャーは、最後は自分が責任を取ることを伝え、チームメンバーのチャレンジを促している
(20)チームのコミュニケーションを深めるため、飲み会やレクリエーションなどを工夫している
などです。
①から④の仕組みが機能している会社は、本当の意味で「優良企業」と言えます。
こういう企業は、社員を大切にするというだけではなく、社員を活かすことができるので、業績も持続的に拡大していくということになります。
ただ、すべての条件を満たしている企業はほぼないといってよいでしょう。
方針を打ち出すのはとても強いけど、安心して働ける環境が弱いとか、風通しの良い組織風土はある程度できているけれど、マネジャーの支援や指導が足りないなど。
先ほどあげた20項目の具体例のうち、半分以上満たしている会社は、「優良企業」に入ると考えてよいでしょう。
3.「優良企業」を見極める3つの方法
問題は、内定を出してくれた企業が「優良企業」なのかどうか、先ほどの20項目に照らしてどうやって判断していくかです。
20項目は内部にいる人でないとよくわからない項目が多いので、内部の状況をよく知っている人に確認していくしかありません。
それもなるべく正直に答えてくれる人に応えてもらうのがベストです。
第1は、その会社に勤めている人に知り合いやつてがある場合は、最終面接前や内定を受ける前に必ずその人に、先ほどの20項目の中で面接の途中で確認できていないことをしっかり確認することです。
そういう人がいれば、かなり正直に話してくれる確率は高いです。
第2は、もし転職にあたって人材紹介会社を利用していたのなら、その会社のことを良く知っている人材紹介会社の担当者から話を聞くことです。
ただ人材紹介会社の担当者は、企業を内部から知っているわけではないので、答えられない項目もあるかもしれません。
第3は、採用担当者に面接では確認できなかった項目をしっかり確認することでしょう。
ただ採用担当者はあなたを採用したい人なので、内情を全部は話してくれないかもしれません。うそはいわないかもしれませんが、少し都合の悪いことは話さないかもしれません。
ですから、具体的に質問をして、その答えの行間を感じ取って、感触をつかんでください。
たとえば、企業理念が社員の方に浸透しているかというように聞くのではなく、企業理念をどんな形で事業に反映しているか、社員の方は企業理念を仕事をする際にどのように生かしているかなど具体的な事実を確認する質問をするとよいでしょう。
まとめ
最終的に自分が転職する企業を決めることはとても大きな決断です。
たとえば、数社から内定をもらってどこにしようか決めるとき、企業の表面的な条件で比較すると迷ってしまうことが多いようです。
結局決めきれずに、どこにも転職できなかったという例もあります。
企業選びで大切なのは、あなた自身が「本当に何をやりたいのか」という軸をしっかり持ち、そのやりたいことと企業の企業理念がフィットするかをまず第一に見ていくことです。
そして、その企業が本当に自分を活かしてくれる「優良企業」かどうかを見極めるためには、
- 方針を明確に打ち出しているか
- 安心して働ける環境をつくっているか
- メンバーが自力で成果があげられるように、マネジャーは適切な支援や指導ができるか
- 風通しの良い組織風土をつくっているか
を確認してください。
それもその企業の内部の状況を良く知っている人をなんとか見つけて、確認しておくことです。
最近は企業のあなたを採用するかしないかの判断は非常にスピーディーになっています。
いつ内定を出されても、イエス・ノーを即座にいえるように、外側からだけではない企業研究をしっかりしておいてください。
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