「転職」に関する意識について、㈱シンフォニック・バリューズ独自の調査を実施しました。
転職を考えていたり、意識し始めている方を対象にした、下記内容についてのアンケート調査です。
質問1:現在の仕事に対する不満やストレス
質問2:転職をしようとする場合に感じる不安
質問3:転職するにあたって重視すること
質問4:転職のしやすさに関する見通し
転職をする際も、「給与水準」や「福利厚生」を重視する傾向が強まっており、転職をとおして現在の待遇を改善したいと考えていることがわかりました。
ただ一方で、「やりがいや充実感が得られる」「やりたい仕事が得られる」などの自己実現についても重視していることが分かりました。
【調査概要】
アンケート対象者:転職する可能性のある20~40代の社会人
回答者数:1,967人
実施期間:2017年6月20日~6月27日
回答方式:選択式(複数回答可)
調査結果について、レポートします。
質問1:現在の仕事に対する不満やストレス
最初の質問で、「現在の仕事に対する不満やストレス」を聞きました。
結果は下記のグラフのとおりです。
【質問1:現在の仕事の不満やストレス(回答数)】
- 会社の将来性に不安を感じる:336
- 給与水準が低い:224
- やりがいや充実感が感じられない:171
- 会社の方針や考え方が合わない:128
- やりたいことができない:122
- 労働時間が長い:87
- 上司や同僚との人間関係がうまくいかない:86
- 自分を成長させてくれる環境がない:78
- 自分の能力、経験、持ち味が活かせない:75
- 休日出勤などプライベートな時間がとりにくい:70
- 福利厚生の内容:62
- 雇用不安が強い:59
- パワハラ:59
- 公正な処遇がなされていない:56
- 教育制度が不十分:55
- 仕事に対する上司の指導や支援がない:42
- 上司からの業績プレッシャー:31
- セクハラ:24
- 仕事を任せてもらえない:18
「会社の将来性に不安を感じる」という答えが一番多く、現在会社の業績があまりよくない、あるいは構造的に将来性が心配など、会社の先行きについて不安に感じている人が多いという結果が出ました。
会社に対する不安に連動していると考えられますが、「給与の水準が低い」という答えが二番目に多くなっています。
ただ、「やりがいや充実感が感じられない」「会社の方針や考え方が合わない」「やりたいことができない」などが上位に来ており、現在の仕事の内容や質に満足していない状況が伺われます。
また、職場での人間関係に対する不満は一般的にはとても大きいと思われていますが、「上司や同僚との人間関係がうまくいかない」という答えは思ったほど多くはなく、内容としてはシビアでも、数的には印象ほどは多くはないことが分かりました。
質問2:転職しようとする場合に感じる不安
2番目に、「転職しようと考えた場合に感じる不安」について聞いています。
結果は下記のグラフのとおりです。
【質問2:転職をするとした場合の不安(回答数)】
- 自分が本当に何をやりたいのかわからない:328
- 不安はない:247
- 転職して年収がアップするだろうか:209
- 自分が希望する内容の求人があるだろうか:207
- 自分の経験やスキルに自信が持てない:192
- 面接で自分をうまくアピールできるだろうか:178
- 本当に転職できるだろうか:162
- 転職後の人間関係に馴染めるだろうか:146
- 選考に通る職務経歴書が書けるだろうか:107
- 自分のやりたい仕事ができるだろうか:104
- 家族の理解が得られるだろうか:93
- 働きながら転職活動の時間が取れるだろうか:86
- 今の職場に知られずに転職活動ができるだろうか:78
- 転職後、転職先企業が求める成果を上げられるだろうか:75
- 今の職場を辞めさせてくれるだろうか:60
- 間違って希望とは違う企業に転職してしまわないだろうか:42
一番多かった答えが、「自分が本当に何をやりたいのかわからない」です。
いざ転職をしようと思った際に、現在の仕事の状況を変えたいが、自分は何がやりたいのかわからないという人がとても多いということがわかりました。
いわゆる「判断軸」、「自分軸」というものが無い状態なので、いろいろな場面で判断や決断を迫られる転職活動で、その判断や決断が鈍ったり、間違えたりする最大の要因になります。
「自分が本当にやりたいこと」を明確にすることが、転職活動における最大の課題と言えます。
また、転職活動をする際の懸念としては、「転職して年収がアップするだろうか」という答えが二番目で、やはり報酬についての関心が高いことがわかります。
それに続いて、「自分の希望する内容の求人があるか」「自分の経験やスキルに自信が持てない」「面接で自分をうまくアピールできるだろうか」という不安が続き、「本当に転職ができるだろうか」という大きな不安につながっています。
転職を決めるときの不安や転職後の仕事上のパフォーマンスなどへの不安はあまり高くなく、やはり目の前の転職を決めるということに対しての不安が大きいようです。
質問3:転職するにあたって重視すること
3番目に、「転職するにあたって重視すること」について聞いています。
結果は下記のグラフのとおりです。
【質問3:転職するにあたって重視すること(回答数)】
- 給与水準:360
- やりがいや充実感が得られる:229
- 人間関係が良い:213
- やりたい仕事ができる:180
- 福利厚生が充実している:162
- 自分の能力、経験、持ち味などが活かせるかどうか:154
- 事業内容:154
- 会社が安定していて、雇用不安がない:144
- コミュニケーションが取りやすい風通しの良い組織風土:144
- 会社の将来性がある:136
- 企業理念や会社の方針:126
- パワハラやセクハラがない:104
- 成長できる仕事や環境があるかどうか:101
- 過酷ではない労働環境:96
- 公正な処遇がなされる:83
- 会社の知名度:79
- 教育制度が充実している:52
- 上司の指導力や支援力:36
- ある程度裁量を与えてくれる:27
一番多かった答えは、「給与水準」。
やはり、今の好景気と人手不足の状況を考えて、給与水準を改善するチャンスととらえている方が多いと考えられます。
ただ、「やりがいや充実感が得られる」「やりたい仕事ができる」「自分の能力、経験、持ち味が活かせるかどうか」などが上位に来ており、自己実現をかなり重視していることもよくわかりました。
そして、「人間関係が良い」という答えが3番目に来ており、やはり人間関係は、転職する際の重要な判断材料になっているようです。
質問4:転職のしやすさに関する見通し
4番目に「転職のしやすさに関する見通し」を聞いています。
回答は下記のグラフのとおりです。
【質問4:転職のしやすさに関する見通し(回答数)】
- わからない:1127
- 転職のしやすさは以前と変わらない:290
- 以前よりも転職しにくくなっている:290
- 以前よりも転職しやすい環境になっている:260
「わからない」という答えが圧倒的に多く、同数で「転職しやすさは以前と変わらない」「以前よりも転職しにくくなっている」がつづき、「以前よりも転職しやすい環境になっている」と答えている人は全体の13%しかいませんでした。
「50年ぶりの高求人倍率」とか、「超人手不足」などの言葉がメディアで踊っていますが、あまりそれには惑わされず、シビアに状況を見ているようです。
まとめ
今回の調査では、転職を意識している人たちにとって、転職に踏み出すのには多くの不安を抱えていることがあらためて分かりました。
とくに、転職をするにあたって、「自分が本当に何をやりたいのかがわからない」という不安が一番多く、転職に踏み出せない最大の要因であることがわかりました。
また転職をする際、「給与水準」や「福利厚生」をアップさせたいというニーズが高い一方で、「やりがいや充実感を得たい」「やりたい仕事をしたい」「自分を活かしたい」などの自己実現について非常に重視していることもわかりました。
回答者の皆さんもわかっているように、この超人手不足の転職市場で現在の仕事の状況を改善するチャンスは広がっていますが、企業の採用基準はあまり下がっていません。
転職に踏み出す際には、「自分が本当にやりたいこと」という「軸」を明確に打ち立てることを中心に、しっかりした準備をして臨むことがとても大切です。
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