転職を考えて行動し、履歴書や職務経歴書を作るときになって、多くの人の手が止まるのが「自己PR」です。
これは、面接に進んだ人も同じで、自分の長所や出来ることだけを、取りあえずガンバッテ話すことに終始してしまう人も多いですね。
では、本来、転職で必要となる自己PRとは、どのようなものなのでしょうか。
今回は自己PRの重要性、自己PRを考えるときの注意点や、ライバルと差をつけるコツを紹介していきます。
1: 転職に必要な自己PRとは

多くの自己PRを読ませていただいたり、聞かせていただくと、転職がなかなか上手く行かない人に共通していることが見えてきます。
その共通点とは
- 自分がやってきたこと
- 自分がやりたいこと
- 転職したい理由
どれも自分本位(自分視点)での話になっていることです。
比較的転職をスイスイと成功させる人は、自分本位の話ではなく
『どうして転職先が自分を採用しないといけないのか』
という、相手の立場からの視点で話すことが多いです。
ここに大きなヒントが隠されているのですが、自己PRとは
- 自分の長所を語る
- 自分の得意な事を語る
- 自分の実績を語る
ということでは「無い」ということ。
それよりも「どう役立つのか」を伝えるものなのです。
視点を変えてお話すると、自己PRとはセールストークです。
それも一流のセールスマンのトークです。
一流のセールスマンは、商品の特徴や長所を話しません。
- この車はエアコン付きですよ
- この車はエアコンが付いているので涼しくなりますよ
こんなことは言いません。
一流のセールスマンは
『この車はエアコンが付いているので、真夏に車に乗っても、すぐ汗が収まります。ですから、いつでも快適な車内でリラックスして過ごせますし、パートナーを隣に乗せても大喜びされますよ。』
もうお気づきでしょうか?
特徴でも長所でもなく「相手にとって役立つこと」を伝えています。
自己PRは「セールストーク」。
この視点を覚えておいてください。
2: なぜ自己PRが重要なのか

自己PRの説明の次は、自己PRの重要性をお話します。
なぜ自己PRが重要なのか。
転職する人から考えると「面倒」なことだと思います。
でも、転職先の会社にとっては非常に重要なのです。
それは履歴書や職務経歴書だけではわからない部分を、自己PRで知りたいからです。
履歴書と職務経歴書で、応募してきた人の前職での実績はわかった。
経験もわかったし、持っている資格やスキルもわかった。
でも、この人は本当に自分達の会社に役立つのかだろうか。
こんな疑問を人事担当者は常に持っています。
ここで転職者は、相手の疑問を出来るだけ減らす努力が必要となります。
長所やスキルを、
- 仕事でどんな風に生かせるのか
- 会社へどんな風に貢献できるのか
- 会社へどんな利益を持ち込めるのか
転職活動を行い、書類を送り、面接をする。
この時点では、あなたと転職先とは初対面です。
お互い相手のことは、ほとんど何もわかっていません。
ビジネスシーンで言えば、リスクがもっとも高い状態です。
通常のビジネスなら、リスクが高い相手と取引したいとは思いません。
こんなときに重要なのが、取引を始めたい方が相手のメリットになることを伝えることです。
私はあなたの役に立てます。だから取引したい。
転職に言い換えれば
私は御社の役に立てます。だから御社へ入社したいです。
このように伝えることが、相手との距離を近づけ、お互いの間に信頼を作り出す一歩となります。
「私、出来る人なんで大丈夫です!雇えばわかります!」では、相手の疑問は減りません。反対に増やしてしまうかもしれませんよね。
だから、転職者の自己PRは、他のスキルや資格などよりも、転職先の人事担当者が重要視するところなのです。
3: 自己PRで注意するポイント

自己PRの重要性をご理解いただけましたでしょうか?
自己PRで自分が役立てることを知ってもらい、お互いの信頼関係を作り出すのが自己PRの役割です。
そこで、自己PRを考えるときに注意するポイントを紹介します。
(1)基本の3つ
- 何をやってきたか
- 何ができるか
- どう貢献していきたいか
この3つが、自己PRの基本になります。
まずは、この3つを思いつくまま書き出してみましょう。
まず「何をやってきたか」「何ができるか」を書き出して、その後に、それらを使って「どう貢献していきたいか」「どう貢献できるのか」を考えてみてください。
(2)応募先を分析しよう
基本の3つを書き出せたら、あなたが応募しようとしている会社を分析します。
- 応募先が求めているスキル
- 応募先が求めている強み
- 応募先が求めている経験や実績
あくまでも自己PRは相手目線ですから、応募先が求めていることに重点をおきます。
応募先が求めているものを、あなたが書き出した中から選び出していきましょう。
ぴったり一致するものだけでなく、関連しているものも選び出しましょう。
例えば今までの経験では「営業経験はゼロ」だったとします。
でも、今回応募するのは「営業職」だった場合。
もし、あなたの経験や実績の中に
- お客様と直接お話した経験
- 特定の法人に対するアドバイス
- 営業の支援
こんなことがあれば、これは関連したことですから、選び出しておきましょう。
(3)セールストークは短いのが◎
ここまで書き出せたら、どう伝えるかを意識します。
イメージしてください。
テレビでやってる通販CMを。
ひとこと一言のセリフが短いことがわかると思います。
「これは○○なので快適です」
「こんな○○なシーンで簡単に役立ちます」
これと同じように、書き出したことを短く編集してみてください。
1つの文には、一つのキーワードだけを入れるようにしましょう。
2つのエピソードを1つの文に入れると、話が簡潔ではなくなるので、相手に「何の話なのかわからない」印象を与えます。
4: ライバルと差をつけるコツ

次にライバルと差をつけるコツを紹介します。
自己PRはセールストークです。
ということは、できるだけ具体的にするのが得策です。
あなたも「これは多くの人が買った商品なんです」と言われるよりも、
「これは200人中、136人の方が買った商品なんです」と言われた方が納得すると思います。
これと同じです。
(1)数字を使う
実績は数字を使いましょう。
数字を使うことで客観的な情報となり、相手に伝わる信頼と説得力が違います。
前もって伝えたいことの「数字」を調べておきたいですね。
(2)形容詞は省く
「たくさんの」「多くの」「ほとんどの」
「美しい」「おもてなし」「きれい」
こういった形容詞は使いやすい言葉です。
でも、残念ですが相手には伝わりません。
相手の心に響きにくい言葉ですし、印象が薄い言葉です。
どこか借りてきた言葉のようにも感じますし、具体的ではありません。
だから、自己PRでは「名詞」と「動詞」を意識しましょう。
一流のセールスマンのトークを聞くと、ほとんどが「名詞」と「動詞」で出来上がっていることに気づくと思います。
(3)資格は「なぜ」が大事
資格や特技を書くときには、「なぜ」が大事です。
「なぜ」その資格を取ったのか。
「なぜ」その特技を選び、身につけたのか。
「なぜ」が無いままの資格や特技は、具体的に役立つ印象が薄くなります。
ただの勢いで取ったのか。
ただ流行っていたからなのか。
そんな風にも思われます。
流行だったからでも「流行の理由を知りたいから、自ら体験するため」という「なぜ」に答えられれば、具体的に行動力がありそうだという印象が伝わります。
5: まとめ
たかが自己PR。されど自己PRです。
自己PRは、あなたがどれだけ転職先で「役立てるか」を、相手にわかりやすく伝えるツール。
これは視点を変えると、良くできたセールストークです。
自己PRがセールストークなら、セールスする商品は「あなた」です。
あなたが転職先の「なに」に「どれだけ」「どんな風に」役立つのか。
『私を採用することで、御社はこれだけ得しますよ』
こういうことを、わかりやすく伝えることだと言えます。
だからと言って、新卒者に多い「盛った」自己PRはNGです。
相手もプロの人事担当者です。
それくらい簡単に見抜きます。
新卒なら「まぁ、仕方ないか」という感情を持つかもしれませんが、転職者に対してはありません。
事実を正確に、盛らずに自分が転職先にどれだけ役立てるのか。
自分の持っているスキルが、どんなシーンで役立ち、会社へもっと利益を生みだすことが出来るのか。
これを伝えるのが自己PRの役割です。
自己PRは、思いつきで話せることでも、書けるものでもありません。
仮に思いつきで話している様に見える人も、必ず皆が見ていないところで内容を練り、練習しています。
ぜひ、あなたも今日から自己PRを練って練習し始めてください。
そして、今回お話した内容で自己PRを考えることは、この後、転職に必要となる
- 履歴書
- 職務経歴書
- 自己分析
- 面接
そして、転職先での自己紹介にも使える「基本」となります、
もし自己PRを一人で考えるのが大変。
別の視点から自分の良いところを引き出してほしい。
そんな悩みがありましたら、キャリアアドバイザーなどに相談するのが近道です。
ぜひ、あなたの得意なことだけではなく、会社にとってプラスになることを探し出して整理してみてください。
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