目次
1.はじめに
あなたは、毎日仕事を始めるにあたって、これだけは必ずやっているというルーティーンや習慣のようなものをお持ちでしょうか。
朝オフィスに入って、今日のスケジュールを確認して、とにかく仕事に突入するという方もいらっしゃると思いますし、まずはちょっと落ち着いて今日のタスクを考えて、優先順位を決めて仕事に取り掛かるという方もいらっしゃると思います。
もちろん人それぞれのスタイルがあると思いますが、ざわざわした心の状態で仕事を始めるのと、すっきりした気持ちで仕事を始めるのとでは、やはりパフォーマンスや生産性が違ってきます。
毎日すっきりした、落ち着いた気持ちで仕事を始めることができるようになれば、仕事の生産性も充実感も当然高まっていきます。
そして、毎日すっきりした、落ち着いた気持ちで仕事を始めるためには、仕事を始める前のちょっとした作法(決まったやり方、ルーティーン)を続けることがとても大切です。
今回は、日々の仕事をすっきりと始めるための誰にでもできる効果的な作法についてお伝えしたいと思います。
2.仕事を始める前の効果的な作法
ここで作法と書きましたが、いわゆる毎回ある程度決まったやり方やルーティーン、習慣と考えていただければ良いと思います。
基本的な型と言っても良いかもしれませんね。
仕事でパフォーマンスや生産性を高め充実感を得るためには、もちろんいろいろな要因がありますが、毎日の仕事にしっかりと、できればモチベーション高く取り組んでいくことが重要です。
そのためには毎日の仕事の始め方がとても大切です。
そして、毎日の仕事を良い形で始めるためには、仕事を始める前に心がすっきりと整っていて、良い意味で仕事に対するやる気が高まっていることが望ましいと思います。
そうした集中力が自然に高まる状態を作ることが、今回お伝えする仕事を始める前の効果的な作法です。
この仕事を始める前の効果的な作法の基本形は、次の3つのことの実践から成り立っています。
①現実(自分の心)をありのままに見つめる
②目指したい姿(ビジョン)を再確認する
③今日達成したいことを明確にする
この3つのことを短い時間でも毎日続けていると、心が落ち着いた、安心した状態で仕事にとりくむことができるようになりますし、タスクを確実に実行できているととても充実感が高まっていき、仕事の生産性が上がり、ますます充実感が高まっていくという好循環が生まれるようになります。
毎日先ほど申し上げた3つのことを、仕事に取り掛かる前の10~20分ぐらいの少しの時間を使って続けていくだけです。
それでは、この仕事を始める前の3つの基本プロセスについて、詳しく説明していきましょう。
3.仕事を始める前の効果的な作法:3つの基本プロセス
①現実(自分の心)をありのままに見つめる
まず自分の心を落ち着いた状況にするためには、自分を取りまく現実をありのままに、客観的に見つめることが必要です。
現実の中には自分の心の状態も含みます。
現実をありのままに、客観的に見つめるというのは、自分の思い込みや価値観というフィルターを通さずに、良いとか悪いとか判断をせずに、何か始めて見るものを観察するように現実を見るということです。
昨日は〇〇のことで課長に怒られてへこんだなとか、通らないと思っていた提案がすんなり社長の承認をもらってびっくりしたななどとにかく評価判断を加えずに、誰かを責めたり、自分を責めたりせずに、起こった事実や自分の心の動きをそのままに客観的に振り返るということです。
特にネガティブなできごとや自分の気持ちについては、できるだけ客観的に眺めるようにして、自分も含めて人を責めないことが重要です。
そうすると、物事やできごとを仕組みやシステムととらえることができるようになり、どうしたらこの悪循環の仕組みを変えることができるだろうかという前向きな発想に変わることができるので、ネガティブなことも自分の力でコントロールできるようになり、心が落ち着いて、ポジティブになっていきます。
自分の心を含めた現実をありのままに、客観的に見つめることで、心が整い、可能性を探るという良い姿勢に変わることができ、この最初のプロセスだけでもとても効果が生まれます。
②目指したい姿(ビジョン)を再確認する
目指したい姿(ビジョン)を再確認するというのは、自分が実現したいと思っていることやこんな自分になりたいと思っていることなど、あなたが実現したいと思っている中期的な目標を思い出すことです。
あなたは、数年後こんなことを実現したいとか、こんな自分になりたいという中期的な目標を持っているでしょうか?
業界でも噂されるぐらいのNo.1の営業パーソンになりたい、メンバーから慕われながら業績も高めることができる優れたマネジャーになりたい、自分のアイデアを活かしながらお客様の状態を改善できるコンサルタントになりたい、管理会計については社内でも一目置かれる経理のプロになりたいなどなど。
いずれにしても、自分が目指したい姿(ビジョン)を具体化して、それを毎日再確認することが重要です。
思い出すような感じで良いのですが、毎日初心に戻るような感覚があって、とても心が落ち着きます。
目指したい姿(ビジョン)の具体的な描き方については、次の記事を参考にしてみてください。
③今日達成したいことを明確にする
①で現実(自分の心)をありのままに見つめ、②で目指したい姿(ビジョン)を再確認すると、「ああ、こういうことが大事だな」という想いが生まれてくるはずです。
あるいは、「こうしたらいいんじゃないかなあ」という想いが生まれてくるのではないかと思います。
もしそうした想いが自然に生まれてこなかったとしたら、現実(自分の心)をありのままに見つめ、目指したい姿(ビジョン)を再確認した上で、「今何が大事だろうか?」「今自分は何がしたいんだろう?」と自分に問いかけてみてください。
そうすると、「これが大事なんじゃないかな」「こうしたらいいんじゃないかな」という想いが出てくると思います。
その想いを大事にしながら、今日何をやるかを発想してみてください。
とても細かいことでも結構です。
「今日このことについて〇〇さんにメールする」という単純なことでも結構ですし、クライアントに対するプレゼン資料作りという重要度の高いこともあると思いますが、すべて今日やろうと思うことをできれば書き出してください。
そして、全部書き出したなと自分の中で納得できたら、あとはその書き出したタスクを淡々と適度な集中力とともにやっていくだけです。
一つひとつつぶしていくような感じで、仕事を楽しんでください。
それでは改めて、仕事を始める前の効果的な作法:3つの基本プロセスをおさらいすると、①現実(自分の心)をありのままに見つめる、②目指したい姿(ビジョン)を再確認する、③①と②をすることによって大事だなと思うことを意識しながら今日達成したいことを書き出して、実行するというただこれだけです。
これを仕事を始める前に、10~20分ぐらいでやってみてください。
やり続けていると、この3つの基本プロセスを実行することで、心がすっきりとして、落ち着き、整った状態で仕事を始められるようになり、今日達成したいことをほぼ達成できるようになってくると、生産性も上がり、とても充実感に満たされるようになります。
できれば①②③を自分なりに工夫しながら、短い文章でいいので、すべて書き出すことをお勧めします。
4.なぜ3つのプロセスが効果的なのか
①現実(自分の心)をありのままに見つめることを意識するということは、自分の価値観や思い込みから離れるということです。
価値観や思い込みは経験を重ねる中で形成されるもので、どちらかというと自分を危険から守るために形成されてきた考え方です。
たとえば子供の時に犬にかまれた経験があって、犬は怖くて避けるものという価値観ができてきてしまったとしても無理もないのですが、もう大人になった自分に危害を加えることはないのに恐れることによって、ペットと過ごす癒しの時間を本当は得ることができたかもしれませんが、得ることができないということになっているかもしれません。
また、経験の中で「仕事はスピードが命」という価値観を持つ場合もあります。もちろん、その価値観そのものは素晴らしいのですが、いつもいつもそうだとは限りませんし、職種によってはスピードよりも正確性が重視される場合もあります。
ですから、価値観に絶対に正しいとか正しくないいうことは無いのであって、こういう場合は正しいけど、こういう場合は正しくないということがあるのです。
でも価値観が強いと犬からの回避行動をとるとか、仕事のスピードの遅い部下にイライラするなどの不協和音が心の中に生じます。
価値観をとおして現実を一面的に見ると同時に、不安やイライラなどの雑音が発生して煩わされることになります。
自分自身が生み出した価値観で雑音を生じさせ、自分自身が集中できない状態になり、とうぜん心は落ちつかず、生産性も上がらないということになります。
ですから、現実や自分の心をありのままに見ようとすることで、価値観や思い込みになるべくとらわれないようにして、心穏やかで集中した状態をつくる必要があります。
そして、価値観や思い込みもありのままに見ることができるようになると、価値観や思い込みの良くない影響を緩和することができます。
ぜひ、現実や自分の心の動きをありのままに、客観的に観察できるようなとらえ方を意識してみてください。
そして、②目指したい姿(ビジョン)を再確認する、ということは、自分が最も関心をもっていること、大切だと思っていることを想い出し、そこに意識を向けることです。
自分にとっての真剣なテーマに意識を向けると脳が自然に働きはじめます。
脳は本当に高性能なコンピューターと同じです。
大事なテーマを持つことでアンテナが立ち、必要な情報を積極的に取り入れようとしますし、脳の中にあるあらゆる情報を組み合わせて、適切なソリューションを生み出してくれます。
脳は真剣なテーマを持つと寝ているときも情報の整理と結合の仕事を続けると言います。
早朝に目覚めてうつらうつらしているときにひらめきが多いという話を聞いたことがあると思います。
ひらめきが多くなると当然良い結果につながる可能性が高まり、生産性もあがります。
そして、目指したい姿(ビジョン)=自分が実現したい真剣なテーマに意識を向けると、自分の中に軸ができるので、現実や自分の価値観・思い込みをより客観的にありのままに見られるという効果もあります。
①の現実(自分の心)をありのままに見ると②目指したい姿(ビジョン)を再確認することによって、心の中の雑音が減り、集中力が高まることによって、いつもと違った発想(ひらめきや直観)ができるようになると思います。
また、心理学的には「心理対比」といって、目指す姿と現実の2つをしっかり見るだけで自然とモチベーションが上がり、目的を達成する確率が高まると言われています。
その状態で、③今日達成したいこと(タスク)を明確にすることが良くないはずがありません。
自分が決めたことを、あとはやるだけです。これはとても楽ちんです。
楽ちんで迷いが無いから、自分が決めたことを達成する確率が高まります。
当然、充実感も高まっていきます。
5.私のやり方
私は、この仕事を始める前の効果的な作法を毎日続けていますし、支援をさせていただいている企業の社員の皆さんにもお勧めしています。
特に経営者の方や幹部の方がこの3つのプロセスに意義を感じていただくことが多く、続けていただいているケースが多いです。
最初は、現実をありのままに振り返る、ビジョンを想い出す、タスクをピックアップするということを自分なりにつくった2週間分書き込める表に手書きしていました。
今はそれをExcelに置き換えましたが、手書きもデータの入力も効果には変わりはない様です。
まず昨日あったできごとや自分の心の状態をカッコつけずに、できるだけ客観的に少し他人事のように記述するようにしています。
昨日はクライアントさんの支援はうまくいかなかったな、準備が足りなくて申し訳なかったなのようにネガティブなことも感じたままに、良い悪いは判断せずに書くようにしています。
そして、数年後に実現したいビジョンをほぼ毎日同じ内容ですが記入しています。その時々の心境の違いで表現は微妙に変わってきますが、内容はほぼ同じです。
そして私の場合は、現実を振り返り、ビジョンを想い出して大事だなと思ったことを課題として書き出し、その課題に対してどうしたらよいかを仮説として書き出しています。
そして、今日の目的とゴールを書き出して、最後に今日やりたいタスクを書き出します。
そしてそのタスクについては、完了したら◎またはうまくいっているけど仕掛かり中だと〇をつけたりして完了感を明確にしています。
一日終わったときに、10件あったタスクに全部◎がついているととても達成感や充実感がありますし、とうぜん仕事は確実に前に進んでいます。
まとめ
先ほど書かせていただいたやり方はあくまでも私のやり方なので、もしやってみたいという方は自分なりのやり方、ツールで無理のないところから始めてください。
ポイントは、現実(自分の心)を短い日記のように振り返る、自分のビジョンを想い出す、そしてその時感じたことを基にタスクを書き出すの3つです。
特にタスクを書き出すと、今日これを順番にやっていけばいいんだと納得できるので、迷いなく仕事を進めていけますし、ほとんど完了できれば日々充実感が高まります。
小さな習慣ですが、効果は計り知れません。
お勧めです。
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