日本の職場での生産性が低いことは、マスコミに取り上げられて、よくご存じではないかと思います。
OECD(経済協力開発機構)に加盟している、先進国35か国の内、日本は22位という大変生産性が低い水準にあります。
日本人は勤勉で、教育の平均的なレベルも高く、モノづくりにおいては大変質や完成度の高いものを生む出すことができ、おもてなしでも繊細なサービスを提供できる文化や国民性を持っていて、客観的に見てもとても優れた国民だと思います。
それなのに労働生産性はひどい状態というのはどういうことなのか、以前から不思議でなりませんでした。
でも日本の職場での働き方を見ていると、やはり生産性を落とす原因ともいえる日本独特の現象が見えてきます。
今回は日本の職場の生産性を落としている根深い原因と、それに対して自分でできる生産性向上のための対処法をお伝えしたいと思います。
目次
1.上司と部下の間で、仕事の完成イメージが具体的に共有されていない
日本の職場で生産性を落としている最も大きな原因は、上司と部下の間で仕事の完成イメージがちゃんと共有されずに仕事に取り掛かってしまうということです。
上司が部下に仕事の指示を出す時、「〇〇の資料、あさってまでに作っておいて」と非常にざっくりと指示することが大半です。
その資料を作る本来の目的は何なのか、その中で資料に必須な項目や表現方法はどうしたらよいのか、どれくらいの細かさまで要求されているのかなどがわかりません。
上司が仕事の指示を出す場合、具体的に説明することはまれですし、部下もあまり確認せずに資料を作り始めるということが日本ではよく見られます。
そうなると、部下は上司の丸投げともいえる指示に対して忖度(そんたく)して、目的はたぶんこうだろうからこんな感じの資料でいいんじゃないか、あさっての17:00ぐらいまでにできてればいいだろうし、これぐらいのデータが入っていればいいかなと自分で解釈しながら進めます。
もちろん、時間に余裕があって部下の成長を考えて、包括的な指示をだして、本人に一から考えさせるというのは悪いことではないのですが、通常の業務の中でこれをやっていたら当然生産性は上がりません。
上司の包括的な指示に対して部下は勝手に解釈して資料を作り始めると、できた資料が上司のイメージに合わず、やり直すなど何回もやり取りをしてまたゼロから作り直すというような状況も珍しくないのです。
これを回避するには、上司から仕事の指示を受けたときに、その指示を受けた仕事の本来の目的は何なのか、どんなことを達成することが必須で、いつまでに、どれくらいやる必要があるのかなどをしっかり合意しておくことです。
欧米では仕事の指示を受けるときに上記のことを確認するのは当たり前で、そういうことに上司が答えられなかったり、答えたとしても自分がやるべき仕事か納得できなかったときは部下から断ることもあるそうです。
日本人と韓国人は儒教の影響が強く、上司に対して問いただしたり、モノ申したりすることが最もできない民族だそうですが、そんなことは言っていられません。
仕事を始める前の、その仕事の完成メージをしっかり上司と確認しておくことが、自分の仕事の生産性を高めるのに最も大事なことだと言えます。
2.何を決めたいのかわからないダラダラ会議が多い
どうゆう結果を求めているのかはっきりせず、だらだらと長い会議は本当に参加したくないものです。
会議はそもそも、何か職場での問題を解決したり、成果や業績を高めるためにメンバーで良いアイデアを出し合い、合意して、みんなで行動していくためにやるものです。
情報共有であったり、上司の考え方を一方的に聞いたりするのであれば、グループウェアやメールで共有すればよいはずです。
ですから、情報共有や上司からの指示だけの会議であれば、基本的には会議以外の方法でその目的を達成する方法考えて実施してください。
では、議論するテーマがある会議を効果的に行うには、どのように進めるのが良いのでしょうか。
ポイントは、会議を基本的に2回に分けて行うことです。
①まず1回目は、どんな結果を得ようとする会議なのか、そのテーマの目的や目標をメンバーに伝えるとともに、そのテーマについてのアイデアを次回の会議までにいくつ考えてきてもらうなどを伝えるだけの会議です。
②そして2回目は、例えば1週間後、メンバーで持ち寄ったアイデアを発表し合い、解決策や良い企画を議論する会議です。
ここでのポイントは1回目の会議で、「時間」と「量」を指定した宿題を出すことです。
「1週間後」に、一人「10個」のアイデアを考えてくるなどです。
上記二つのことを意識するだけで、効率的に時間が使え、創造性豊かで楽しくなる会議ができるはずです。
ぜひあなたの会社で何かのテーマで会議をする場合は、上記のやり方試してみてください。
3.明らかに答えを求められているメールに返信しない
普段仕事をしていてとても感じるのが、明らかに判断や答えを求めるメールを出しているのに、相手が返事をしないということが非常に多いということで。
上司にあることについての判断や答えを求めているのに、いつまでまっても返事が返ってこないという経験をしたことはないでしょうか。
仕事を前に進めようとして判断や答えを求めているのに、それが帰ってこないということは、仕事が止まってしまうということです。
これほど、生産性を下げ、イライラすることはありません。
少なくとも「2・3日考えるから少し待って」と返事があればまだ良いのですが、何の反応もないと文章の書き方が悪かったのか、何か怒っているのかなど余計なことまで考えてしまって、他の仕事の生産性まで落としかねません。
対処としては、メールを出しても反応がなければ、直接あるいは電話などで確認してみることを早い段階で行ってください。
余計なイライラをしなくて済みますので。
そしてあなたにお願いしたいのは、自分が判断や答えを求められるメールを受け取ったときは、翌日までには何らか返事をするという習慣をつけることです。
もちろん、判断や答えを出すのに時間がかかる場合はあると思いますが、その場合には「いついつまで待ってください」というメールを出すべきです。そうすれば相手も別の対処が考えられるかもしれません。
翌日までに何らかの返事をするということを心がけていると、あなたの判断力を高めることができるようになりますし、あなたの仕事もスピードが上がるようになります。
そして返事をするポイントは、どうしてそういう判断や答えになったのか理由をできる範囲で構わないので相手にフィードバックしてあげることです。
相手はそのフィードバックを受け取って、次のアクションへの参考にできます。
そういうことをお互いに心がけることができると、お互いを活かしあうことができ、組織やお客様との関係をより生産性の高いものにすることができます。
4.自律的に仕事をすることができる人が少ない
あなたが職場での生産性を上げるために最も大事なことは、自分の裁量で仕事をしていく割合を高めていくことです。
自律的に仕事を進めていける自律型人材あるいはセルフスターターになりことです。
もちろん自律型人材といっても、上司、先輩や同様に相談したり、協力を求めることがなくなるわけではありませんが、自分で決めて、周りを巻き込みながら行動し、成果を得る割合を高めていくことが重要です。
自分の判断で仕事を進めながらも、これでいいのだろうかと途中で方向性が分からなくなった場合は、率直に上司に相談や指示を仰ぎながら進めていくということはとても大事です。
チームのメンバーが皆セルフスターターになったとしても、チーム内のコミュニケーションは各人の自律性が高まった分、それまで以上に必要になってきます。
自分で判断して仕事を進めていくことは怖いと感じることもあるかもしれませんが、それがあなたの成長につながりますし、やりがいにもつながります。
必要なコミュニケーションをしっかり取りながら、自分で仕事をドライブしていくということにぜひ挑戦してください。
究極の生産性向上策です。
まとめ
職場での生産性向上は、究極的にはあなたがあるいはメンバーがそれぞれ適切なコミュニケーションをとりながら自律的に働けるようになることです。
そのためにはどんな小さな仕事であっても、これは何のためにやるのかという本来の目的を確認して、それに基づいて仕事を組み立てていくことが基本になります。
本来の目的を考えずに、とにかく仕上げることや完了することが目的になってしまっている仕事が職場にはびこっています。
これでは仕事は面白くありませんし、おもしろくなければ意欲も高まらないので生産性も低くなるのは当然です。
仕事をする本来の目的を常に考える癖をつけて、その目的を達成するために自分は何ができるかを考え、実行できるようになって、ぜひ仕事を楽しめるようになってください。
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