「一億総活躍」という言葉を耳にすることが増えました。
そして国を挙げての「働き方改革」が始まっています。
年齢も性別も関係なく多様化する職場環境ですが、多様化するがゆえに「将来自分はどんな風に働きたいか」と迷ってしまうこともあると思います。
また、改めて自分の今後をイメージしてみたとき、
「自分のやりたい仕事に、いつでも就けるためにはどうすればいいのだろう」と不安をもたれることもあることでしょう。
そんなときこそ、自分自身のための「キャリアデザイン」を明確にしておくことが重要なのです。
それでは、今回は「キャリアデザイン」について、お話していきたいと思います。
1: キャリアデザインとは

まず「キャリア」の定義をしておきたいと思います。
キャリアとは、こういった使い方もありますよね。
「キャリア官僚」
「あの人はキャリアだから」
偉い人や経歴がすごい人。
すごい学歴があるから、最初から役職で登用。
でも、キャリアデザインで使われている「キャリア」は、こういう意味ではありません。
この場合の「キャリア」とは、
「あなたの人生の中での仕事の部分」
という意味合いで使われています。
「働くこと」で使った時間、培った経験などの履歴といった方がわかりやすいかもしれませんね。
ですから、収入を得る仕事はもとより
- ボランティア
- 地域の役員
- PTA
- 幹事
なども、キャリアと呼べます。
大きい意味では、自分が今まで行動してきた履歴ですね。
キャリアの定義が終わりましたので、キャリアデザインとは何かをお話しましょう。
キャリアデザインとは、和製英語です。
アメリカやイギリスの英語圏で話しても、おそらく通じません。
ということは、日本でのみ使われるキャリアデザインとは
「自分の人生の仕事の部分を、自分の理想に従って作り上げる」
という意味にとらえることができます。
自分の人生は自由です。
どんな職業をいくつで選ぼうと、法律的に問題なければOKです。
でも、その後ろには「自己責任」がついてまわります。
自分で決めたことには、自分で責任を取らないといけません。
働いていた会社を、自分のキャリアデザインのために辞める。
これは自由です。
そして、次の就職で失敗。
これは自己責任です。
良いことだけが自分のことで、良くないことは他人のこと。
という理屈は通用しないのが、自分の人生を自由に選べるということです。
このように、時代背景ともマッチして、仕事に関しても「自己責任」という含みもあるのが「キャリアデザイン」という言葉です。
2: キャリアデザインが必要な理由

バブル経済よりも前、終身雇用が当たり前でした。
会社で働くということは、正社員を意味していました。
そして、一度入社すると定年まで正社員として働けました。
ですから、バブル経済が崩壊した1990年代よりも前のサラリーマンは、転職することが少なかったのです。
しかし、バブル経済が崩壊したことで、会社の経営は大きく変化しました。
経費の削減、リストラは当たり前。
終身雇用が保証されていると思っていたのに、突然リストラされ、次の仕事もないということが増えました。
同じころ、IT革命が起こったことで、単純な仕事は機械に置き換わりました。
年功序列もなくなり、成果主義という言葉が登場したのもこの頃です。
先の見えない時代に突入し、自分の生き方は自分で決めなくてはいけなくなりました。
そして、転職という機会が増え、若くして起業する人が増え、働き方も多様化。
個人が自分の理想の目標や生活にあった仕事をし、自由な働き方を選択するために、キャリアデザインという理想の将来の働き方とも言える計画が必要となったのです。
3: デザインの考え方

キャリアデザインの考え方を紹介します。
次の3つのステップを順に洗い出していくことで、理想の将来へのプランを作り出すことができます。
(1)自分自身の現状を把握
自分のことを見つめることが必要です。
- 自分の得意なこと
- 自分の苦手なこと
- 長所と短所
- 自分の持っている資格
- 自分が持っているスキル
- 自分がやってきた経験
これらを洗い出してみてください。
謙遜とか盛ることは不要です。
(2)自分の未来の理想
あなたのやりたい仕事は何でしょうか?
未来の理想は何でしょうか?
どんな働き方が理想ですか?
働く目標は?
あなたの本音を見つけてください。
かっこよくなくていいです。
感動的でなくていいです。
あなたが本音でやりたいと思っている理想を書いてください。
(3)実現するために必要なもの
自分の未来の理想を実現するために、必要なものは何か。
不足しているものは何か。
ここを具体的に考えてください。
4: 求められる能力とは

キャリアデザインとして求められる能力を理解しておきましょう。
ここでお話することを、全て出来る必要はありません。
しかし、求められている能力に対して自分はどうなのか、ということは分析しておく必要があります。
(1)マナー・常識
- 一般常識
- ビジネスマナー
(2)資格・専門知識
- パソコンスキル
- 資格
- 業務に必要な専門知識
- 語学力
(3)基礎能力
- コニュニケーション力
- 問題解決能力
- 行動力
- 自己管理力
- 創造力
- 継続力
- 情報収集力
(4)その他
- リーダーシップ
- マネジメント力
- 戦略力
- 課題設定力
これらは、多くの会社で「選ばれる人」になるための能力でしょう。
全てがオール100ということは、人間ですからあり得ません。
でも、自分が得意なところ、苦手なところを知っておくことでアピールできることが変わってきます。
選ばれるためには、得意なところだけではなく、苦手なところを知っておき協力を求められる力も必要になります。
5: キャリアデザインを実行する方法

それでは、キャリアデザインの作り方と求められる能力がわかったところで、あなたのキャリアデザインを作ってみてください。
ポイントは、キャリアデザインの作り方で洗い出したことをベースに作っていくことです。
(1)理想(ゴール)
ゴールを設定します。
すでに洗い出したときに出てきたゴールを、
- いつまでに
- どこで
- 誰と
など、5W1Hを活用して、具体的に設定しましょう。
(2)逆算する
ゴールから逆算して計画します。
目標であるゴールを達成するために必要なスキル。
そのスキルを手にするために必要な期間や行動。
経験を積むためにできることは何か。
ゴールから逆算することで、いつ頃には資格と取得しよう。
その為には、いつの試験を受けよう。
試験に合格するためには、6ヶ月前から勉強を始めよう。
などと、現実に近づけていくことで、今やることが明確になってきます。
(3)計画を実行
計画だけ立てて終わりでは、もったいないです。
でも、多くの人がもったいないままなのです。
あなたはぜひ実行してください。
そして小さな成功体験を繰り返し感じてください。
まずは「こんなことやっても変わらないよ」と思えるくらい小さなことを一つ実行することが、結果的に大きな変化をもたらすことになります。
(4)チェックし、見直し、学ぶ
実行したらその結果をメモに書き留めましょう。
その結果をチェックし、上手く行った理由、そうでなかった理由を考えましょう。
実行したことをチェックし、見直すことは重要です。
そこから新たな学びがあります。
ここで学んでおくことは、次の計画につながりますし、自分だけの上手くいく法則が見つけることにもつながります。
PDCAやPDCLと呼ばれるアクションプランを参考にするのもいいですね。
>>仕事ができる人の秘密。アクションプランとPDCA、PDCLを活用する方法とは
6: まとめ
キャリアデザインは、これからの働き方を自分自身で決める大切な計画書です。
これは、ただ次の仕事を得るためだけのものではありません。
今後AIなどの導入によって人間が必要となる仕事が減ったときでも、前もってキャリアデザインを意識した働き方をしていたなら、AIに取って代わられる仕事に従事している可能性は低いことでしょう。
このようにキャリアデザインを意識しておくことは、あなたの将来を明るいものにしてくれます。
そして、ある日突然に仕事がなくなるというリスクを減らせるかもしれません。
いつでも選ばれる人になっておくことは、自分のイメージした理想の働き方を実現することにもつながります。
そして、選ばれる人ということは、相応の収入が約束されたのも同じでしょう。
ぜひキャリアデザインを実際に描き、描いたことを実行して、その他大勢の中から一歩も二歩も抜け出し、「逆指名」される存在になっていただきたいと思っています。
今回の話が、あなたの理想の未来を描く参考になれば幸いです。
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