仕事をする際、多かれ少なかれ重苦しさを抱えている方が多いのではないかと思います。
ヨーロッパの思想には仕事はそもそも人間に与えられた罰という考え方もあるようで、仕事=つらいものというイメージができあがっているかもしれません。
生きていくための苦役。
でも一方で、活き活きと楽しそうに、やりがいを持ちながら仕事をしている人もたくさんいます。
私は本来仕事とはそういうものではないかと思います。
では、どうしたらそんな働き方ができるのでしょうか?
仕事に感じる何となくの重苦しさの正体を見ていきましょう。
目次
1.仕事がなんとなく重苦しく感じる理由
(1)なぜ仕事に重苦しさを感じるか
あなたはどんな時に仕事に重苦しさを感じるでしょうか?
とにかく月末までに○○万円の契約を決めなくてはならないときや何に使うかわからないけど急ぎの資料の作成を指示されたときなど、何となくいやな気がするのではないかと思います。
また、自分がやった仕事の結果が見えないときも何となく重苦しさというより手ごたえがなく、「自分は何をやっているんだろう?」という気になることがあります。
たとえば、大企業に多いのですが、製品の設計や開発をやっているれども、最終的に消費者にどう使われるかわからないまま、指示されて図面を引いたり、プログラミングをしているようなときです。
また、今やっている仕事の将来に明るい展望が見えないときも重苦しさを感じますよね。
営業をやっていて、毎日毎日TELアポをして、少ない可能性を求めて売込をして、毎月数字を作っていく、こういうことを20年も30年も続けていけるのかと考えると憂鬱になってくるということもあります。
また、上司の方針と自分の考え方が合わないというときも、いやだなとがっかりするときもあります。
自分がお客様のニーズを満たす最適な提案をしたいと思っているのに、上司は会社が売りたいものを売りこもうとして、お客様のためにはならないような提案を嘘をつくようにしなければならないときなどは気が重いですよね。
人間は生活していくため、生きていくためと言っても、言われた仕事を何でも喜んでできる存在ではないのです。
(2)仕事そのものは本来しんどいもの
仕事そのものを切り出すと、本来しんどいものです。
スポーツを考えてみるとよくわかると思います。
スポーツは基本的に体を酷使するもので、ランニングだったら息が苦しいですし、スキーやスケートは常に足の痛さと戦っていたたり、ボクシングであれば試合で殴られれば顔が腫れ上がったりしますし、試合に出る前はランニングや筋肉を鍛えたり、減量にも苦しむなどほとんどがしんどかったりして、つらいことばかりです。
仕事も一つひとつをみてみると、単調なデータの入力であったり、地道に何かを調べたり、書類を作ったり、電話を1日100件かけたり、クレームの対応をしたり、提案書を書いたり、何かのアイデアを絞り出そうとしたりなど、考えてみたらしんどいことの積み上げです。
ではなぜ、一流のスポーツ選手はあんな常人には考えられないほどのしんどいことを大量にやり続けることができるのでしょうか?
それはやはり、目的があるからです。
なんとなくかっこいいからできるようになりたい、女の子にもてるようになりたいとか、誰々選手にあこがれてサッカーに興味をもったとか、一流選手であれば日本選手権で優勝したいとかオリンピックで金メダルを取りたいなどの何らかの目的があるからです。
目的がある、その実現に向かっているから、大量のしんどいことも積み上げられるし、耐えられるし、気にならないという状態が生まれます。
(3)仕事に感じる重苦しさの正体
仕事も同じことが言えます。
目的がはっきりしていて、その仕事をする意味が納得できれば、本来重苦しく、しんどい仕事から、重苦しさやしんどさが無くなっていきます。
完全に重圧が無くなる訳ではありませんが、非常に軽減され、仕事に前向きに取り組めるようになれます。
目標のレベルが高いスポーツ選手は、練習の虫のケースが多いです。
自分の目標を達成するためには、大量の練習をすることが必要なことを知っているので、練習が苦にならないのです。
逆にもっとやらなきゃと思う選手をなだめて適正な練習をさせるのがコーチの役目であったりもします。
要するに仕事に重苦しさを感じるというのは、その仕事の目的やその仕事をする意味が明確になっていないのです。
人はやる意味がわからないものをやらなければならないとき、あるいはやらされるときはやはり気が進まなくて、とても重苦しさを感じるようになります。
この仕事の目的や仕事をやる意味というのは、あなたが生きていくためとか生活していくためとかいうことではなく、その仕事本来が持つ目的ややる意味のことです。
たとえば医者という仕事には、患者さんの痛みや不自由さを取り除いて、日常生活に復帰させるという目的や意味がありますし、会議用の資料を作るという仕事には、ある大事なことを正しく決定するという目的や意味があるということになります。
2.仕事に前向きに、気持ちよく取り組めるようになるためには
(1)今やっている目の前の仕事に目的ややる意味を持たせる
仕事に前向きに、気持ちよく取り組めるようになるためには、もうお分かりだと思いますが、自分がかかわっている仕事の目的ややる意味を明確にするということです。
そして今やっている仕事の目的ややる意味が明確になっているか考えてみてください。
たとえば自分は人事の担当で、人事部長に言われて残業時間の削減に取り組んでいるが、残業時間を減らすことは最終的な結果であって、「本来の目的は何だったっけ?」と考えるクセをつけてください。
残業時間を削減する本来の目的ややる意味です。
政府が音頭を取っているからとか、社長の鶴の一声だからということではありません。
なぜ今わが社では残業時間の削減が必要なのかということです。
社員の皆さんが健康的に働き、家族との時間も増やして、精神的な豊かさも実現することによって、最終的に生産性を高めるためなど、自分で納得できる本来の目的を明確にする必要があります。
また営業職の場合、とかく数値目標を達成することが目的化している場合が多いですが、そうではなく、今売ろうとしている製品やサービスでどういう価値をお客様に与えようとしているのかをしっかり明確にしてください。
以前私が勤めていた精密機械メーカーでは、セミセルフレジという商品がありましたが、お店の人がスキャンして、お会計はお客様が自動精算機で行うという製品でした。
レジの通過時間は半分になり、お店の人はお金の管理をするプレッシャーがなくなり、お客様はゆっくり自分のペースで支払いができるといういくつものメリットがある製品でした。
これを導入してもらい、お店の効率を高め、来店客数を高めてもらうことが営業マンの仕事の本来の目的です。
そのお客様に効率と来店客数のアップをもたらすという目的が明確になると、数値目標を達成することを意識していたときよりも、仕事をする意味が生まれて、仕事に対するモチベーションが上がるはずです。
(2)今担当している仕事の目的ややる意味と「人生理念」を結び付ける
仕事そのものの目的ややる意味を見出すことはとても大事なのですが、その次にやって欲しいことは、自分の人生の目的と担当している仕事の目的とを統合することです。
人生の目的というのは、あなたの価値観などに裏打ちされた、人生においてあなたがこうありたいというあり方です。
どんなことでも素直に楽しめる自分でありたいとか、多くの人に元気を与える自分でありたいとか、活き活きと輝きたいとか、人の役に立てる自分でありたいとか、どんなときでもこんな自分でありたいという願いです。
これを「人生理念」と言います。
この「人生理念」と仕事の本来の目的を結び付けると、仕事が自分事になり、さらにやる意味が出てきます。
たとえば、先ほど例に出した残業を削減する本来の目的である、「社員の皆さんが健康的に働き、家族との時間も増やして、精神的な豊かさも実現することによって、最終的に生産性を高める」ということと「いきいきと輝く」という人生理念の両方を実現しようとした場合、新たなレベルの高い発想が生まれやすくなります。
適材適所をうまく実現することによって社員の皆さんが活き活きと働き、同時に残業時間を削減することができないか?などの発想です。
ぜひ担当している目の前の仕事の本来の目的にさらにあなたの「人生理念」を統合するということをやってみてください。
まとめ
担当している目の前の仕事の本来の目的が明らかになり、その目的を実現しようと発想していくと、とても仕事が楽しくなると思います。
さらに、担当している目の前の仕事の本来の目的にあなたの「人生理念」を結び付け、良いアイデアが生まれたとしたら、仕事が重苦しいどころか、ワクワクしてくるはずです。
仕事の本来の目的を明らかにし、あなたの「人生理念」を結び付けることによって、仕事にあなたらしい意味付けをして、その実現にチャレンジしてください。
そうしたクセを付けていくと、人生はとてもエキサイティングなものになっていくと思います。
ぜひ、充実した仕事と人生を手に入れてください。
コメントを残す