誰かから自分が求められる、期待されるというのは本当にうれしいものですよね。
企業に勤めている場合、会社や上司から必要とされ、期待されることは仕事に対する大きなモチベーションになりますし、やりがいや生きがいにつながると思います。
また転職を考えている人であれば、他の会社からも求められ、期待される必要がありますよね。いわゆる企業を超えた市場価値というものです。
ではどんな人材が企業から本当に求められているのでしょうか?
ずばり、企業から求められているのは、企業が期待している成果を継続的に上げることができる人です。
たとえば、ある企業では顧客を新規開拓して、自社のシステム商品を右肩上がりで販売してくれる人。ある会社の人事担当者であれば会社の状況を考えて、規定を適切に整備していってくれる人が求められることになるでしょう。
成果を継続的にあげることができる人材というと一般的には高学歴、成績優秀、知識が豊富などを兼ね備えた人材と思われがちですが、高い能力と素晴らしい実績を持っている方でも、成果を継続的に上げられるかというと必ずしもそうではないですよね。
もちろん各企業とも成果を継続的に上げてもらうために優秀な人材が欲しいのですが、企業が求める高度な経験やスキルだけではなく、その前に実は「地頭がよい人材」を求めているのです。
1.地頭がよい人材とは
地頭がよい人材とは、自分で本質的な目的を見出し、そのためにどういう行動をしたら良いかを考え、実行できる人のことです。
実行したことに結果がともなっていればもちろんベストですが、いつも成果が出るとは限らないので、本質的な目的を意識しながら何度も何度も試行錯誤を繰り返し、最後には成果を勝ち取る人のことを言います。
地頭の良い人間というのは、年齢に関係なく存在しています。
たとえばある学生の事例をお話ししましょう。
彼は、ある大学の野球サークルの代表をしていました。
楽しいことが好きでムードメーカー的な存在だった彼は、サークルの雰囲気が全体的に沈滞していることがとても気になっていました。
なんとかもっと活気のあるサークルにしたいという想いを抱くようになり、行動し始めました。
まずは、サークルのメンバー全員と話をし、サークルに対する思いや不満などを聞いていきました。その中で大会で勝つことを目指して真剣にやりたいと考えているグループとサークルなんだから楽しくやれればいいじゃないかと考えているグループに分かれていることに気がつきました。
そこで彼は、二つのグループのニーズを満たす練習方法を考え、またサークル全体のコミュニケーションがよくなるように飲み会やイベントを定期的に企画し、実行していきました。
そうした努力の甲斐あって、サークルの練習に出てくるメンバーの数も徐々に増え、雰囲気も良くなり、多くの新入生が入ってくる、大学の中でも大きなサークルの一つに変わっていきました。
これは、自分で目的を見定め、何をしたら良いかを考え、思いついたアイデアを実行し、良い結果を得た大学生の話です。
こういう人を年齢に関係なく尊敬してしまいます。
実は企業は、仕事の上でこういうことが自力でできる人材を求めているのですね。
仕事の本質的な目的をしっかり見定め、周りを巻き込みながら主体的・自律的に行動して、成果が出せる人材を、私たちは「自律型人材」と呼んでいます。
2.「自律型人材」にはどうしたらなれるのか?
「自律型人材」というのは、自分で自分をしっかりリードできる人と考えていただければとよいと思います。
したがって、自分で自分をリードしていくためには、自分は本当に何をやりたいのか、どんな自分になりたいかなど、「自分の本当の願い(人生理念)」をまず明確にする必要があります。
企業が力強く、世の中に対して事業を展開していく場合、自分の会社はこんな世の中をつくりたい、そのためにこんな貢献をしたいという企業理念があるように、人が主体的に、積極的に活動していくためには、人生理念が必要です。
先ほど例に挙げた大学生が、サークルを活発な状態にしたいという想いからすべてが展開していったように、こんなことがやりたい、こんな自分になりたいという「自分の本当の願い(人生理念)」を明確にし、言語化することが自分をリードする出発点になります。
「自分の本当の願い(人生理念)」が明確になっていると、物事を判断したり、何かを決めたりするときの基準になり、行動に一貫性がとれるようになります。
そして、「自律型人材」になるための2つめのポイントは、自分の人生理念に基づき、やるべきことを決めて、実行し、結果を振り返って、気づき・学びを得るというPDCLサイクルを自力で回せるようになることです。
PDCLサイクルというのは一般的にはPDCAサイクルと呼ばれているものですが、経験学習の考え方から、最後のActionをLearningとしているので、PDCLサイクルと呼んでいます。
自分の人生理念に基づいて目標とそれを実行するAction Planを決め、試行錯誤しながらそれを実行し、経験したことや結果を振り返り、そこから気づき・学びを得て、次何をやるかを決めるときに活かしていくという、世の中で成功している人や企業で高い業績を出している人が実践している基本姿勢です。
大きな目標の達成だけではなく、日々の仕事を行うときもこのPDCLサイクルを自力で回すことができるようになると、成果を上げる確率が高まりますし、仕事への取り組みの中から効率的に学び、成長していくことができるようになります。
そして、「自律型人材」になるために重要な3つめのポイントは、お客様や上司など自分が価値を提供する相手が本当に望んでいること(真のニーズ)をキャッチするコミュニケーションを身に付けることです。
相手が本当に望んでいること(真のニーズ)をキャッチするためには、①相手と信頼関係をまず結ぶこと、②相手から本音を引き出す問いかけの技術を身に付けること、③そして相手の真のニーズを見極めるため、相手に100%意識を向ける訓練をすることの3つが必要になります。
- 自分の本当の願い(人生理念)を言語化する
- PDCLサイクルを自力で回す
- 相手の真のニーズをキャッチするコミュニケーションを身に付ける
この3つが整えば、企業が本当に求める「自律型人材」になることができます。
3.「自律型人材」になるのは難しいのか?
企業が求めている「自律型人材」はどれくらいいるのでしょうか?
私たちの感覚では、10人に1人いるかいないかという割合です。
全体の一割弱ということになりますね。
ただ、先ほど見ていただいたように、「自律型人材」になるための要件は、決して特別な才能や技術が必要なわけではありません。
どれも、当り前のことを当り前にできるようにすればいいのですが、当り前のことが当り前にできる人は少なく、当り前のことが当り前にできるようになれば上位10%以内に入る一流のビジネスパーソンになれます。
上位数%のスーパースターになるためには才能や並外れた体力などが必要になるかもしれませんが、当り前のことを当り前にやって一流のビジネスパーソンになれるのであれば、だれにでも可能性があるということです。
私たちは平等にチャンスを与えられているのです。
ただ、そのチャンスをものにするためには、私たちは先ほどの3つのポイント(人生理念の言語化、PDCLサイクルを自力で回す、相手の真のニーズをキャッチする)を実践できるように、トレーニングして習慣化する必要があるのです。
まとめ
「自律型人材」になることで、「自分の本当の願い(人生理念)」と仕事が結びつくので、とても自分らしく、一貫性をもって仕事をすることができるようになります。
また、PDCLサイクルを自力で回せるようになると仕事が他人事ではなく自分事になるので、仕事に対するモチベーションが高まり、成果が出やすくなり、また自分の行動や経験から効率的に学び、成長していけるようになります。
そして、お客様や上司の真のニーズを捉え、それを叶えることができるようになると、達成感や充実感が高まり、仕事をすることが生きがいに変わります。
「自律型人材」になるということは、企業に求められる市場価値の高い人材になるということだけではなく、自分の仕事や人生を豊かにするためにもとても有効なことなのです。
もしかしたら、他人から指示されて仕事をする方が楽と思う人がいるかもしれませんが、実は自分を自分でリードした方が、自分らしく、充実した、楽しい仕事ができるようになるのです。
「そうゆう」という表記は正しくないと思います
記事に説得力がなくなります。
めめめ 様
「企業が本当に求める人材になるためには」の記事をお読みいただき、
またご連絡いただきまして、誠にありがとうございます。
ご指摘いただきました表現について、確認させていただきました。
確かに筆者の意図とは反して、読者の方に誤解を与える可能性がある、
適切とは言えない表現だと感じました。
より適切な表現に変更させていただきたいと考えております。
改めて、ご指摘いただきありがとうございました。
また、気づいた点などございましたら、ご連絡いただけますと
幸いです。
よろしくお願いいたします。
株式会社シンフォニック・バリューズ
石倉正久