あなたは料理をしますか?
私は数年前から週末家族に向けて料理をするようになりました。
7年ぐらい前に5カ月ほど入院することがあって、その間に家族に結構負担をかけたので、退院後せめて週末ぐらいは妻の負担を軽減してあげたいと思ったのがきっかけでした。
料理をしていらっしゃる方はご存知だと思いますが、料理は結構家事の中でも時間もかかり、かなりしんどい部類に入ります。
そもそも何を作るかと考えるのもめんどうですし、買い物もしなくちゃいけません。調理に1時間半ぐらいは時間がかかりますし、後片付けもあります。
これだけ便利な世の中になってきたのに、家族に安全なものを食べさせようと思うとかなりの手間がかかります。
ですから、料理は嫌い、やるのがつらいと思う方も多いのではないかと思います。
私も最初は、野菜をきったりするのがしんどい、料理をしながら台所が洗い物などでめちゃくちゃになって訳が分からなくなる、できた料理がイメージしたようにできないなど結構イライラしたものです。
ただ、数年週末だけですけれども料理を続けてきて、これはメーカーでの「モノづくりのプロセスそのものだな」と思うようになりました。
料理から、効率的においしいものを作ろうとした時に大切なポイントが、仕事へのヒントになることがわかりました。
そのことについて、順を追ってお伝えしたいと思います。
目次
1.ゴールを決める
料理をする場合まずは、何を作るのかを決める必要があります。
自分が作るモチベーションがわくもの、家族が好きなもの、季節によってパワーのある食材は何か、気候、自分の技術、予算などを総合的に考えてメニューを決めます。
そして大事なのはそうした具体的なメニューを決める前の「基本コンセプト」、何のために作るのかという目的ではないかと思います。
私の場合は、「週末普段の料理よりは少し趣向を変えて家族を楽しませることができるおいしい料理」を目指しています。
ですから、イタリアンやスペイン料理、メキシコ料理のようなものの中から、そんなに手間がかからず、難易度も高くなく、リーズナブルにできる料理を選ぶようにしています。
2.材料の調達
つくる料理が決まったら、レシピを確認して必要な食材や調味料を調達します。
まずは家にあるものを調べます。冷蔵庫の中にあるもの、そして調味料で切れているものがないかを確認します。
そして足りないものを買ってくることになりますが、事前の在庫の確認を怠って買い物に出てしまい、買いもらしたり、買わなくてよいものを買ってきてしまったりという失敗をよくやってしまいます。
事前の在庫の確認がとても大事なことがわかります。
3.下ごしらえ
いわゆる、食材を洗ったり、野菜を切ったり、下味をつけたり、下茹でしたりなどの食材を合わせる前の下準備です。
料理をする場合、この工程に一番時間がかかりますし、面倒くさい部分です。
だいぶ手際よくなりましたが、私もこの部分が一番面白くないですし、料理が嫌いな方の一番の理由はこの単調で時間のかかる作業のせいではないかと思います。
作業を助けるフードプロセッサーなどもありますが、本当にそうした機器を使った方が効率的なのか疑問に思う時もあります。
細かく切ったり、肉をミンチにしたりすること自体は早いのですが、そのあと機器をきれいに洗う必要があるので、全体を考えると包丁で刻んでいくよりも必ずしも手間がかからないとは言えない気がします。
ケースバイケースでうまく利用していくことが必要です。
ですから、下ごしらえは機器を利用することもありますが、ピーラーで皮をむいたり、包丁で切るなどの手作業が大半を占めます。
4.調理の仕上げ(加工した食材を合わせ、味付けをする)
料理のクライマックスの工程ですね。
それまでに調理してきた食材を炒めたり、煮たりして合わせ、調味料で味付けをすることです。
楽しい部分であり、難しい部分でもあります。
やはりこの段階で難しいのは味付け。その中でも塩分の加減がその料理がおいしいものになるかどうかを大変大きく左右します。
他の調味料は多少多かったりすくなかったりしても影響が少ないのですが、塩分についてはしょっぱくてもおいしくありませんし、塩っ気がないとそれこそ味気がありません。
そしてしょっぱく感じる感じ方は人それぞれ違っていて、男性と女性とでも違うようです。
家族は妻と娘で、自分よりもしょっぱく感じやすいので、自分では少し塩分が少ないかなと思う程度が我が家の場合には合っているようです。
最後の微妙な塩加減が、料理の出来を左右します。
5.見映えよく盛り付ける
せっかく、料理がおいしくできても、見映えが良いことはやはりおいしさと関係してきます。
盛り方もそうですが、最後にパセリの粉末を振って、いろどりをよくするということも大事な工夫の一つですね。
盛り付けは少し立体的に見えるようにこんもりさせるのが、見映えを良くするコツの様です。
そして料理が完成するときに、鍋やフライパン、包丁などの調理道具、ボールやざるなどが同時に洗い終わって片付けられているのが理想です。
調理しながらいらない道具は片付けていくということですね。
要するに、調理をするのにいらないものがあるとあっという間に調理スペースがなくなってしまい、調理のスピードが落ちてしまいます。
あたりまえのことですが、いらないものはその場ですぐに片付けるということがとても大事です。
慣れないうちは難しいのですが、慣れてくると不思議と料理が出来上がったときに片付けも終わっているということができるようになるものです。
6.料理に合う飲み物を選ぶ
作った料理をより引き立てるための飲み物を選びたいものです。
料理とお酒がうまく合うと、お互いに引き立て合うことになります。いわゆるマリアージュというものですね。
ワインでいうと、肉料理や味の濃いものは渋みの強い赤ワイン、魚など魚介類は白ワインで、特にカキなどは貝殻の成分の土壌でできるシャブリが合うと言われています。
スペイン料理にはやはりスペインのワインが合いますし、どこか共通点があって喧嘩するような組み合わせではなく、どこか似た者同士を組み合わせるとうまくマッチすることが多いようです。
何となく夫婦やカップルに通じるところがあるかもしれませんね。やはりどこか価値観や趣味が似ているなど。
中華料理はワインが合わせづらく、強いて言うと白ワインが合うと言われていますが、餃子などにはやっぱりビールですかね。
韓国料理など辛い料理もワインは合わせづらいのですが、イタリアにはトウガラシの成分が入っているワインがあるらしく、そのワインは辛い料理に合うということも聞いたことがあります。
組合せの妙を考えるのも、料理の楽しみの一つです。
7.顧客(家族)の反応を見る
調理の出来栄えは自分でも味わって確かめますが、やはり顧客である家族の反応を一番気にします。
家族を楽しませるために作っているのですから、家族がおいしいと思わないと意味がありません。
娘が「これウメエ!」と言ったときはほぼ最高の出来です。
ただ、娘の「ウメエ!」を聞けるのは年に数回あるかどうかです。
そして家族でもあまりコメントしてくれないものです。微妙な味付けの時はなおさらコメントはしません。
やはり、顧客の微妙な様子を感じ取りながら、自分で評価し、気づいたことを次に活かしていくしかありません。
レストランなどは、食べログなどで評価されることも最近はありますが、やはりお客様の入りや食べている様子、食べ残しなどで判断し、よりお客様が満足のいくものを追求していくしかないのではないかと思います。
慢心せずに、客観的に自分を評価し、気づいたことから不断に改良を重ねていけるかにかかっていると思います。
まとめ
料理は一回一回、メーカーのモノづくりから製品の販売までの一連の流れを経験しているようなものです。
- 製品コンセプト(目的)を確認し、詳細設計(具体的製品の要件)を行う
- 材料をモレや重複が無いように調達する
- 組み立てる部品を加工する
- 組み立てると同時にいらない道具を片付ける
- 機能だけでなくデザインの良い製品に仕上げる
- お客様に製品を提供する
- お客様の反応を探る
- 気づいたことを次の製品づくりに活かす
大事なことはやはり製品をつくる目的は何かということを明確にすること。何のためにこの製品をつくるのかということです。
これがないと良い製品は生まれませんし、次への学びもなかなか生まれません。
そして、私が料理をつくっていて一番に気づいたことは、技術的にはいつもと変わらなくても、心がこもっていないとおいしい料理ができないということです。
イライラしていて、ただ完成させればいいやと思うと良い料理はできません。その質の差はテキメンです。
やはり目的をしっかり思い出して心を込めないと、なかなか「ウメエ!」と言わせるようなおいしい料理はできません。
仕事も同じだと思います。
世のお母さんたちは、安全で家族がおいしいと思う料理を毎日つくり続けている人が本当にたくさんいらっしゃいますが、家族への愛があるからなのでしょうね。
ありがたいことです。
私たちの身体は、母や妻の想いと愛情でできているということですね。
そして世の中は、社会を少しでも良くしようという企業の想いと心を込めた仕事でできているということになるのでしょうか。
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