目次
1.はじめに
この記事を読んでいらっしゃる方の中には、「会社の経営が思わしくない。早く転職しなきゃ!」と思っていらっしゃる方も多いのではないかと思います。。
今回のコロナ禍。
残念ながら、日本のみならず世界の経済や景気に対するマイナスの影響はとても大きなものになるのではないかと考えられます。
今後、企業経営や業績に徐々に影響が広がり、とても厳しい状況に向かっていくことは避けられそうにありません。
こうした経済全体が厳しい中で、転職市場はどうなっていくのでしょうか?
業績不振の企業が増えてきますので、当然求人数は少なくなります。
それに対して、転職を希望する方が大幅に増えるので、1つの求人案件、特に優良な求人案件に対しては、若い優秀な人材も含めて数十人が応募するということになります。
当然競争率は以前よりも比べものにならないくらい高くなります。
簡単に言えば、転職の難易度がぐっと上がってしまうということです。
そして今後、今勤めている会社の業績不振を理由に転職をせざるを得ないというケースが大幅に増えてくると思われます。
一刻も早く転職したいという気持ちはわかるのですが、まずはひと呼吸おきましょう。
不安に駆られて行動すると人間はよく間違えてしまいます。
不安が強くなると脳は防衛モードに入り、客観的に状況を判断できず、過去の自分の経験などのデータべースだけから判断しようとするので、状況の変化にマッチせずによく判断を間違えてしまうのです。
急いでいるか、時間があるかに関わらず、転職という人生においても大きな節目に踏み出そうとするのであれば、やはりまずは落ち着いて、しっかり準備することをお勧めします。
ではどう準備したいら良いかというと、原則に戻って、次の4つのステップに沿って進めていくことがとても大切です。
- 【ステップ1】人生理念(望む生き方、ありたい自分)を明確にする
- 【ステップ2】ビジョン(実現したい状態)を具体的にイメージする
- 【ステップ3】現実(今の自分)を客観的に見つめる(自己分析)
- 【ステップ4】目標を決めて、アクションプランをつくり、パワフルに行動する
とても当り前で、正攻法のアプローチですが、混乱している時期こそこれらの準備を一つ一つ順番に、丁寧に行っていく必要があります。
「時間が無いよ!」と思うかもしれませんが、短時間でもやはり1~4のステップは確実に踏んで欲しいと思います。
時間がある場合は、少しじっくりと4つのステップに取り組んでみましょう。
今回の記事では、この4つのステップにどのように取り組んでいったらよいかを説明したいと思いますが、今企業がどんな人材を求めているのかをまずは押さえておきましょう。
2.企業が求める人材はあなたが成りたい人材でもある
現在のように混乱し、厳しい状況に向かっていく中で、企業が求める人材とはどのような人材なのでしょうか?
結論からいうと、良い状況の時に企業が求める人材と基本的には変わりません。
企業はどんな時期であっても基本的には、適切に現実をとらえ、自ら発想し、行動し、結果に結びつけられる人材を求めています。
いわゆる、自分で考えて行動できる、主体的・自律的な人材です。
このような人材を「自律型人材」と呼んでいます。
企業は、自分で考えて行動ができる基本姿勢を持った「自律型人材」を最も求めていて、その姿勢に加えて、募集しているポジションの業務を遂行できる経験とスキルを求めているのです。
世の中が厳しい状況のときには、この基本姿勢と経験・スキルを求めるハードルがより高くなり、好況期にはこのハードルが緩和されるというだけで、自分で考えて行動ができる「自律型人材」を求めているというベースは変わりません。
皆さんも、自分で考えて行動できる「自律型人材」になりたいと思っていると思いますし、そのために努力もしていると思いますが、なかなかそうなれないと感じている方も多いかもしれません。
そこで大切なのは、先ほど触れた転職のための4つのステップです。
- 【ステップ1】人生理念(望む生き方、ありたい自分)を明確にする
- 【ステップ2】ビジョン(実現したい状態)を具体的にイメージする
- 【ステップ3】現実(今の自分)を客観的に見つめる(自己分析)
- 【ステップ4】目標を決めて、アクションプランをつくり、パワフルに行動する
このステップは、自分で考えて行動する「自律型人材」の基本姿勢そのものです。
ですから、4つのステップを踏むことは、より良い転職を実現する道でもありますし、「自律型人材」になるための道でもあるのです。
転職をするにあたって、この4つのステップを踏み、その基本姿勢を身に付けることは、転職した後のことを考えても非常に重要なことなのです。
それでは、この4つのステップの取り組み方について、順番に見ていきましょう。
3.【ステップ1】人生理念(望む生き方、ありたい自分)を明確にすることが転職活動の起点
まずは、人生理念=自分が心の底から本当に思う「望む生き方」「ありたい自分」を明確にすることが重要です。
この人生理念(望む生き方、ありたい自分)というのは、皆さんが人生を送る上での心の奥底にある願いです。
企業には世の中に対して、「こんな価値を提供したい」そのために「こんな会社でありたい」という根本的な願いがありますが、この経営者や企業の願いや想いのことを「企業理念」または「ミッション」と言います。
先ほど申し上げた、人生理念(望む生き方、ありたい自分)は皆さんの心の奥底にある願いで、企業理念に対応するものです。
企業理念はとても抽象的な経営者の想いですが、人生理念も皆さんが人生を生きる上で最も大切にしている抽象的な想いです。
たとえば、「明るく楽しく」「いつも笑顔でいたい」「堂々と生きる」「活き活きと輝く」など、自分の生き方やあり方に対する心の奥底からの願いです。
そんな願いや想いは自分にはないよと思う方がいるかもしれませんが、「望む生き方」や「ありたい自分」に対する願いや想いを持っていない人はいません。
ただ言葉になっていないだけなのです。
この言葉になっていない自分の心の奥底の想いを言葉にすることが、転職をする上で、あるいは人生を送る上でのベースのベースであり、軸になっていきます。
この自分の心の奥底の想い=人生理念を言葉にするには、自分が本当に「望む生き方」、そのために「ありたい自分」とはどんな自分だろうと考え続けることが重要です。
でもどうしてもうまくいかない場合は、優れたビジネス・コーチやキャリアカウンセラーのサポートを受けると、人生理念を言葉にすることがとても容易になります。
4. 【ステップ2】ビジョン(実現したい状態)を具体的にイメージする
【ステップ2】では、【ステップ1】で明確になった「人生理念」をもとに、ビジョン(実現したい状態)を具体的にイメージします。
たとえば、あなたの人生理念が「明るく、楽しく」だったとします。
「明るく、楽しく」というのは、あなたの心の奥底の本当の願いで、あなたが生きる上での原点であるといえますが、とても抽象的です。
この「明るく、楽しく」という人生理念を大切にして行動に結びつけていくためには、もっと具体的なイメージにする必要があります。
そこで、自分が「明るく、楽しく」いられるのはどんなことをしている時か、どんな状況が生まれると「明るく、楽しく」いられるかなどを具体的に発想していきます。
そうすると、人と気持ちよく接することができると「明るく、楽しく」いられることが発想できました。
それも、お客様であったり、同僚とであったり、友人とであったり、さまざまなシチュエーションがあります。
また、自分が「明るく、楽しく」いられるとしたら、それは「成長」を感じているときだと発想することもできました。
成長を感じると言っても、自分自身の成長を感じる、後輩や新人の成長を感じるなどいろいろと考えられますが、自分がかかわった後輩や新人が成長していることを実感できた時に、一番うれしさを感じることを発見するということもあります。
それをさらに掘り下げていくと、後輩や新人が「こんなことをしたいんです」とビジョンを語り、活き活きと働く姿をみるととても頼もしさを感じ、最もうれしくなることがわかったりします。
これらの発想を統合的にとらえ直して、「若い社員が、『こういうことを実現したい!』というビジョンを語り、活き活きと働く状態を生み出したい!」という自分のビジョン(実現したい状態)を具体的にしていきます。
これが、あなたの人生理念をベースとしたビジョン(実現したい状態)になります。
上記はビジョンを明確にしていく一つの例ですが、もちろん一人ひとりの異なったビジョンが存在します。
このビジョンがあなたの転職を導いていく中心軸になります。
5. 【ステップ3】現実(今の自分)を客観的に見つめる(自己分析)
【ステップ2】で、人生理念を基にビジョン(実現したい状態)が具体的にイメージできたら、今度は今の自分自身を客観的に把握します。
いわゆる自己分析です。
下記のような項目について、過去から現在にかけての自分に関する認識を発想してみてください。
①自分の強み
②自分の弱み
③自分の好きなこと、周囲から歓迎されること
④どんな時に、一番うれしいと感じるか?
⑤自分ができること、得意なこと(特技)
⑥自分の能力でお金になること
⑦ほめられたことや受賞経験
⑧よく怒られたり、注意されたこと
⑨昔抱いていた夢
⑩趣味や好きなスポーツなど
⑪関心があること
⑫やってみたいこと
⑬やりたくないこと
⑭夢中になったり、没頭できること
⑮大事にしている考え方、心がけていること
⑯今つらいと思うこと
⑰理想的な仕事の状態
⑱今までで一番うまくいった仕事やプロジェクト(学生時代のことでも可)
上記の項目について、発想してみます。そしてそれぞれの項目についてなぜそう思うのか、理由や背景も同時に考えてみます。
たとえば、文章を書くことが得意だと思った時に、大学時代にゼミの先生に論文を褒められた経験があるとか、本当に文章を書いているときは集中できて気持ちいいからなど理由も同時に発想します。
そして、上記のすべて項目から発想したことを見返して、自分自身についてわかったことや自分の持ち味についてまとめてみましょう。
そして、この自己分析を踏まえてさらに、自分自身のSWOT分析もしてみましょう。
SWOT分析についてはご存知の方も多いと思いますが、自分の外部環境で「チャンス(機会)」と思えること、「脅威」と思えることをまずあげてみて、その次に自分自身の「強み」、「弱み」を上げてみることです。
最初にやった自己分析と重なる部分も出てきますが、これをやることによって自分を客観的に見ることができ、自分のビジョンを実現するにあたって、「チャンス(機会)」と自分の主に「強み」をどう活かすか、活かせるかを考えることができるようになります。
「チャンス(機会)」は新しい試みにつながりますし、「強み」は自分を最大限に活かすことにつながります。
自分のビジョン(本当にやりたいこと)と「チャンス(機会)」、自分の「強み(または弱み)」を両方見ることによって、転職をする際の具体的な目標が明確になってきます。
それでは、最後の【ステップ4】に入っていきましょう。
6.【ステップ4】目標を決めて、アクションプランをつくり、パワフルに行動する
【ステップ4】は転職に向けての具体的な行動に結び付けていくプロセスです。
【ステップ2】で人生理念に基づいたビジョン(実現したい状態)を具体的にイメージしました。
【ステップ3】で、自分の周りの現実と自分自身について見つめました。
このビジョン(実現したい状態)と自分を含めた現実の両方をしっかり観たり、意識することがとても大事です。
これは「心理対比」といって、そうするとおのずから自分がどのように動いたらよいのかがイメージできるようになり、ビジョンの実現に近づくことができます。
先ほどあげた例だと、ビジョンは「若い社員が、『こういうことを実現したい!』というビジョンを語り、活き活きと働く状態を生み出したい!」というものでした。
そして、自分の強みの一つが、文章を書くということでした。
ここでは単純化して考えますが、上記の二つを意識して、転職の目標を「文章力を高めながら、人の成長を支援する仕事を得る」と決めます。
ただ、この目標も行動するために、あるいはチャレンジしていくために仮に決めるものですから、行動してみた状況によって臨機応変に変えることもOKです。
そして目標が決まったら、この目標を達成するために何をしたら良いかをなるべくたくさん発想します。
まず、文章力を活かせる仕事はどんなものがあるのか、人の成長に関われる仕事はどんなものがあるのか調べることにします。
そしてその調べた結果に基づいて、そのことに関係ある仕事をしている知人に連絡をして、仕事の内容や実態について話を聞くことにします。その行為だけで、具体的な求人が出てくる場合があります。
そして、文章力と成長の支援を組み合わせた仕事ができそうな会社を具体的にピックアップして、ホームページや求人情報を調べて、求人企業やエージェントなどに積極的にアプローチをします。
以上をまとめると
[目標]
文章力を高めながら、人の成長を支援する仕事を得る
[アクションプラン]
①〇月〇日までに、文章力を活かせる、または人の成長を支援できる仕事にはどんなものがあるか徹底的に調べる
②〇月〇日までに、①でピックアップした仕事に関係する知人に仕事の内容や実態について話を聞く
③〇月〇日までに、応募する企業を20社ピックアップし、応募する
のようになります。
このようにしてステップを踏んで目標とアクションプランが決まれば、あなたは一歩一歩、納得感のある転職活動がパワフルにできると思います。
まとめ
今まで見てきたように4つのステップにしっかりと取り組むと、非常に主体的で、地に足がついた、自分を最大限に活かす転職を実現する可能性が高まります。
また、4つのステップに丁寧に取り組むことで、自分自身の成長にもつながります。
とくに【ステップ2】のビジョン(実現したい状態)を明確にすることが、あなたの中に中心軸を生み出し、あなたをリードしてくれるので、自律的な、自分でハンドルを握った行動ができるようになり、良い結果につながる可能性が高まります。
ぜひ、転職を考えていらっしゃる方は、遠回りのように見えますが、実は近道である、4つのステップを丁寧に踏んで、「自律型人材」になるプロセスを経験し、身に付けてください。
健闘を祈っています。
株式会社シンフォニックバリューズでは、今回ご説明した4つのステップに沿って、転職希望者の方の転職の支援をしています。
より良い転職のためにしっかり準備したいという方には、個別に支援をさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
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