ゴールと現実の対比が組織の思考の質を高める

1.私たちはどうしても解決策から考えてしまう

 

もし前任者から引き継いだ、毎年定期的に行っている研修の効果が今一つの場合、皆さんならどのような対応をとるでしょうか?

 

研修の内容を研修会社と相談して変えてみたり、研修を実施してもらっている研修会社そのものを変えてみるなど、こうすれば効果が上がるんじゃないかと思うことをいろいろと試してみるのではないでしょうか。

 

そして優秀な方であればあるほどこうしたらいいんじゃないかという解決策がすぐに思い浮かぶので、それを実行するということになると思います。

 

もっと良いセミナーを実施したい、お客様により良いサービスを提供したい、売り上げを上げたいなどの課題があったとき、私たちはすぐどうしたらいいかという具体的な解決策を考えようとしてしまいます。

 

そして思いついたことはとても効果がありそうな気がするのでやってみるのですが、意に反して効果が出ず、「なかなかうまくいかない!どうしたらいいんだ?」ということが起こりがちだと思います。

 

皆さんならお分かりだと思いますが、ここで重要なことは、現実の課題から具体的な解決策をまず考えるのではなく、その課題を解決したいと考えるそもそもの目的やゴール(実現したい状態や効果)を明確にすることから始めるということです。

 

2.ゴールと現実を対比することが組織の思考の質を高める

 

現実の課題からどうしたら良いかをいきなり考えようとすることは、今自分が立っている場所からどこへ行くのが最適なルートなのか前提なしに考えているようなもので、360度どの方向の可能性もあると言ってもよい状態です。

 

そうすると、どのルートを選んでもほぼこれが正しいんじゃないかという思い込みから選んでいるようなことになってしまうので、最適なルートを選択できない確率が高まります。

 

たまたまうまく行ってしまうこともあるかもしれませんが、360の可能性の中から1つか2つを基準無く選んでいるので、うまく行く確率は極めて低くなってしまいます。

 

ただもしゴール(実現したい状態)が定まれば、現時点から向かうだいたいの方向は決まり、取るべきルートも限られてくるので、いくつかの選択肢の中から最適なルートを選ぶことができる確率が高まり、自分の目的の実現にぐっと近づくことができます。

 

要するにゴールを設定し、現実と対比することによって取るべき解決策が絞られ、その中からもっとも可能性の高そうな解決策から取り組んでいけば良いので、数回のトライで物事がうまく行く確率が格段に上がることになるのです。

 

ただ組織の中で、今やっていることのそもそもの目的は何か、目指すべきゴールは何かを議論することはとても面倒くさいので、目的やゴールから考えるということをちゃんと行っている組織、あるいは経営陣は極めて少ないのが実情です。

 

なかなか答えを見つけられない時に、「今やっていることは結局何のためにやってるんだっけ?」と一度立ち止まって問いかけることができる組織は最適な解決策にたどりつく可能性が高まり、パフォーマンスも高くなります。

 

ですから組織も人も、ゴールと現実を対比して考える癖をつけることがとても重要なのです。

 

組織の幹部が常に目的やゴールを意識してメンバーと共有できるようになると、メンバーがすっきりとパフォーマンス高く前に進むことができるようになります。

 

上司と部下が今行っていることの目的とゴールを確認してから前に進むという癖をつけることが、組織の思考の質が高まっていく第一歩になります。

 

3.ある認証会社の例

 

私が支援させていただいてる企業で、クライアント企業の機密データの取り扱いの状況を監査し、適切に管理されていることを認証する会社があります。

 

機密データを扱っている会社は、一定期間ごとに認証を受けないと基本事業ができないことになります。

 

この認証会社は、ある一定の期日の前までに監査をして、クライアント企業がデータを適切に扱っていることを証明する認定証とその根拠となる数百ページにおよぶレポートをいっしょに提出することになっているのですが、この数百ページに及ぶレポートの提出が期日にほとんど間に合わないという課題がありました。

 

この認証会社から相談を受けた当初は、レポートの提出期日を早めるためにレポートを作成しているメンバーのレポート作成スキルを上げる教育プログラムをつくりたいということがリクエストでした。

 

もちろんこの教育プログラムをつくることから検討を始めてもよかったのですが、まず3年後どのようなサービス提供の状態を実現したいかという数年後のゴールを設定することから始めさせていただきました。

 

その結果、「必要最低限の完成度のレポートを認定証と同時に定められた期日までに提出するという状態を3年後までに実現する」というゴールを設定しました。

 

そのゴールと現状を対比したところ、メンバーのスキルの問題もありますが、レポートの品質チェックをするプロセスがとても煩雑で時間がかかっていることと、レポートを作成する際のガイドが不十分であることのほうがボトルネックになっていることがわかりました。

 

もちろんメンバーに対する教育プログラムを整えることもテーマですが、レポートの品質チェック体制の簡素化、ガイドブックの整備の方がゴールに対してはどうも効果が高そうなのです。

 

これはゴールを設定し、そのゴールに対する現実はどうなのかをしっかりと検討することによって効果が高そうな解決策をピックアップすることができた例です。

 

4.まとめ

 

今回お話しした内容は当たり前のことで、あまり特別なことではないのですが、ゴールを確認して、現実を改めて精査して、効果が高いと思われる解決策をいくつかに絞るということをしっかりやっている組織や経営者はとても少ないのです。

 

内部の人間だけだとどうしても「そんなに大上段に振りかぶらないで」となあなあになってしまうところがあり、表面的・短期的なところで物事を決めてしまい、あまり効果が出ないということを繰り返しがちです。

 

ちょっとした努力なのですが、何か解決策を提案するときは、その解決策の目的とゴール、それに対す現状分析も一緒に提示して、それらを検討した上で解決策を決定するという癖をつけられるとよいと思います。

 

その癖が組織の思考の質を高め、行動(解決策)の質を高め、結果の質を高めることにつながると思います。

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