目次
1.はじめに
あなたは今、仕事に何を一番求めているでしょうか?
このWithコロナの時代の中で、仕事に求めるものがコロナ前に比べて、少し変わってきているのではないかと思います。
現在、社会情勢にしても、経済情勢にしても、そして日々の生活においても先行きの見えない、自分を常に律していなければならない厳しい状況にすべての人がさらされていると思います。
そんな中で仕事に対する意識も、人それぞれに微妙に変化してきているのではないかと思います。
人と人の直接のコミュニケーションができないだけで今まであった需要があっという間に無くなってしまうこと、電車で通勤するということのストレスフルなこと、自宅で仕事をする際のやりやすさとやりにくさを知ったこと、同じ組織だからと言ってメンバーが常に一緒にいなくてもよいこと、その一方でメンバー間のリモートでの協力も大切であること、そしてそんなにあくせく仕事をしなくてもやっていけるのではないかとの想いが強まったことなどなど、いろいろな今まで当たり前だと思っていたことや思い込んでいたことに変化が生じていると思います。
そうした意識や価値観が変化する中で多くの人が、仕事で自分が望む結果をより実現できるようになり、「成長」していきたいと感じているのではないかと思います。
いつ何時、どんなことが起こるかわからないという状況の中で、今目の前の仕事にしっかりと向き合い、成長を実感したいと強く思うようになってきたのではないかと思います。
今回は、仕事に本気で向き合うとはどういうことか、成長し続ける自分になるためにはどうしたら良いかというテーマを考えていきたいと思います。
2.人は仕事と本気で向き合うことで成長できる
人は、仕事と本気で向き合うことによって最も成長していけると思います。
もちろん、スポーツ、音楽、美術、研究などを純粋に追求する中でも成長はできると思いますが、それが仕事となったときにさらに成長が促されると思います。
なぜなら、報酬を誰からか得る仕事と向き合うということは、仕事の先にある「誰かの願い」と向き合うことになるからです。
どんなに良いものであっても独りよがりな商品やサービスを提供しても、仕事は成立しません。
仕事とは、誰かの本当の願い(真のニーズ)を感じ取り、その願いを叶えるために、自分の経験やスキル、知識などの能力を最大限に発揮し、できる限りの価値を提供することによって、その誰かが満足し、感謝を伴った報酬を支払ってくれることによって成立する、もっとも難易度の高い営みの1つだと言えます。
仕事には相手が必ずいますからね。
仕事は世の中で最も成立させることが難しい営みの1つだからこそ、そして誰かが喜ぶことによって自分も喜びを得ることができる素晴らしいものであるからこそ、人は仕事に本気で取り組むことによって、最大限の成長を得ることができますし、幸福になれると思います。
ハンバーガーショップで働いていても、プロのスポーツ選手であっても、必ずお客様や観衆・ファンなどがいて、そのお客様や観衆・ファンが求めていることや期待していることに応えていかなければ、長期的に活動していくことはできません。
だから、仕事に本気で向き合っていくということは、常に最大限の努力を積み重ねていくことが求められ、そのことによって私たちの成長も強く促されるのです。
では、仕事に本気で向き合うとは、どのような状態のことをいうのでしょうか。
3.仕事に本気で向き合うということはどういうことか?
仕事に本気で向き合うというと、何かものすごく情熱をもって取り組まなければならないようなイメージがあるかもしれませんが、私が考えている本気とはそうしたイメージとはちょっと違います。
端的にいうと、仕事に本気で向き合っている状態とは、自分が価値を提供したい誰かの本当の願い(真のニーズ)を感じ取った上で、自分で①こうしたらいいんじゃないかと発想し、②こうしようと決めて(目標や行動計画)、③行動し、④行動した結果を次に活かす、という自ら主体となった試行錯誤をしっかりとし続けることだと考えています。
いわゆるPDCAサイクルに近いものですが、自分で発想し、自分で決めて、実行し、実行した結果をしっかり振り返り、気づいたことや学んだことを次に活かしていきますので、このサイクルを回し続けることで、仕事の質がだんだんと上がっていきますし、自分自身の成長と自分の目標達成の両方を実現していくことができます。
この自分で発想し、決断し、行動し、結果を次に活かすという「成長サイクル」を常にしっかり回していくことが、仕事に本気で向き合うということになりますが、実はこの「成長サイクル」をしっかり回していくことはそう簡単ではありません。
この「成長サイクル」が自分の成長と仕事での成功につながることがわかっていたとしても、しっかりと回せる人はなかなかいないのです。
「成長サイクル」を回し続けることはかなり根気がいることなので、そのサイクルを回し続けたいと思う自分の内側からのモチベーションが必要です。
自分の中にその内発的なモチベーションを生み出し、日々の行動を促してくれるのが、今回のテーマである「4つの習慣」です。
4.「成長サイクル」を回し続けるための「4つの習慣」
「成長サイクル」を回し続けるためのモチベーションと行動を生み出すのが、下記の「4つの習慣」です。
①「自分軸」を大切にする
②「現実」をありのままに観察する
③「ありたい自分」を具体的に描く
④「目標と行動計画」を設定し、行動する
それでは、この4つの習慣について、一つずつ説明していきたいと思います。
①「自分軸」を大切にする
「自分軸」を大切にすることが、内発的なモチベーションを高める最も重要なファクターになります。
「自分軸」とは、自分の日々の生き方や行動を判断し、決断する際の最も根源的な価値観と言えるもので、ただ自分だけに適用できる価値観ではなく、他の多くの人も共感できるような普遍性が高く、かつ自分らしい価値観です。
この普遍性が高く、自分らしい価値観のことを、いついかなるときにも大切にしたい自分自身の生き方に対する想い=理念であることから、「人生理念」と呼んでいます。
この「人生理念」とは、たとえば、「いつも楽しく」「笑顔」「堂々と生きる」「活き活きと輝く」など、自分が心の底から大切にしたい生き方をシンプルに言語化したもので、一生かかっても達成することがない願いです。
「いつも楽しく」を生き方として大切にしようと思うと、死ぬぎりぎりまで「どうしたら自分が楽しくいられるか」「どうしたら周りの人を楽しくさせることができるか」ということを追求し続けることになりますし、ここまでやれば完成ということもありません。
一生かかっても完成しない願いであり、自分の一番大切にしたい想いですから、それを追求し続ける内側からのモチベーションが自然と湧いてきます。
ただ、そうしたモチベーションを生み出し続けるためには、自分が心の底から大切にしたい生き方をまず言葉にして、常にその言葉を想い出し、何かを発想したり、判断・決断するときの中心軸に置くことを習慣にする必要があります。
これが、「自分軸」を大切にするという、「成長サイクル」を回し続けるための第一の習慣です。
②「現実」をありのままに観察する
「現実」とは、自分の周りの人間関係や自分の行動の結果、仕事での出来事や世の中の動きであったりしますが、「現実」の中核には自分自身がいて、自分に起こることやその時の自分の心の中の動きがもっとも観察すべき「現実」です。それもありのままに観察することがとても重要です。
ありのままにというのはちょっと難しいかもしれませんが、人には固定観念や思い込みなどがあって、自分のことすら客観的に観察できていないことが多いですし、自分自身の心の中の動きに関心を持っていなかったり、あえて見ないようにしている場合もあります。
自分をありのままに観察するということは、自分自身に、特に自分の心の中の動きを、固定観念や思い込みを持たずに、純粋な関心を持って見つめるということです。
つまり、良いとか悪いとか、優れているとかダメだとか評価・判断をせずに、そのままの自分の心の動きを受け入れるということです。
自分がうまくできることやうまくできないこと、やさしいところや意地悪なところ、何かが起こったときの自分の反応の仕方などを、これは良い自分、これは悪い自分などと評価・判断を入れずに認める、受け入れるということです。
「ああ、自分はこんなことができるんだな」「こういう時はこんな風に感じるんだな」「だんだん厳しい状況に追い込まれているな」など、良いとか悪いとかの判断を入れずに客観的に見ることが大事です。
そうすると、と少し離れた位置から「現実」を俯瞰することができるようになり、現実の動きに無暗に振り回されることがなくなり、不安が出にくくなり、冷静に対処する態勢が自分の中に整うのです。
人間は現実をいい加減に見ていると不安が高まり、逆に現実をありのままにしっかり見ると不安は小さくなります。
第一の習慣は内発的なモチベーションを高める習慣でしたが、第二の習慣は、不安を極力低減し、冷静に対応するための習慣だと言ってもいいでしょう。
③「ありたい自分」を具体的に描く
「成長サイクル」を回し続けるための第三の習慣は、「ありたい自分」を具体的に描くことです。
第一の習慣の「自分軸」=「人生理念」をしっかり想い出し、第二の習慣の「現実」、特に自分をありのままに観察する中で、「人生理念」を大切にしたらどんな自分になりたいか、どんな自分でありたいかをなるべく具体的に描きます。
その時に1つの工夫として、3つの作業をしてみると良いと思います。
まず、現在から過去の自分を振り返るということ。これを「自己分析」と呼んでいます。
2番目は、現在の自分の主に強みと弱みを明らかにします。いわゆる「SWOT分析」です。
そして3番目は、1番目と2番目の作業も踏まえながら、自分が情熱を持てるもの、一番になれるもの、経済的に成り立つもののすべてが満たされる1点を見つける作業です。
これはジェームズ・コリンズの「ビジョナリーカンパニー」で提唱されている、「3つの円」です。
この3つの作業を行い、特に「3つの円」が重なる部分と「人生理念」を大事にしたら、どんな自分になりたいか、「ありたい自分」をできるだけ具体的に描きます。
ちなみに、私の人生理念は「活き活きと輝く」です。
私は、人や組織が活き活きと輝くサポートをすることで、自分も活き活きと輝きたいと思っています。
その人生理念を大事にしながら、次のような「ありたい自分」を描いています。
「私は、すべての人と組織が心の底からわくわくする「最適な答え」を自ら掘り出し、その「最適な答え」を実現するために活き活きと行動し続けられるように支援ができる、世界史高水準のコーチになる」
今の「ありたい自分」のイメージはこれです。
「人生理念」はそんなに変わることはないと思いますが、「ありたい自分」は自分自身の成長に従って、徐々に変わっていくと考えています。
④「目標と行動計画」を設定し、行動する
「ありたい自分」が明確になったら、その実現のために行動を合わせていく必要があります。
自分が目指していることと自分自身の現在の行動が一致していることがとても重要です。
要するに、いくら志や目指していることが多くの人の共感を得るような素敵な内容であっても、言っていることと、やっていることが違う、理想と現実が合っていないというだとさまざまな不具合が生じます。
1つには理想と自分の現在の行動が合っていないと、意識しているかいないかは別にして、自分自身の中に大きなストレスが生まれます。
ジレンマというやつです。
そして言っていることと、やっていることが違う人は一貫性がないので、周りの人はその人を信用しません。
たとえば、こんな経営者の方がいたりします。
心から社員さんに幸せな働き方をして欲しいと思っている一方で、社員さんを常に仕事ができるか、できないか、優秀か劣っているかなどで判断・評価し、批判し続けているようなことがよくあります。
言ってることと、やってることが違うわけですが、このような経営者の方に対して当然社員さんは信頼を置けないのでますます力を発揮しないということになり、経営者の方はさらに社員さんがダメだと思い、批判するという悪循環に陥ってしまいます。
本来であれば、社員さんに幸せな働き方をして欲しいと思っているのであれば、それを実現するために、社員さんをありのままに観察し、強みと弱みをよく見極め、強みを活かしてあげて、弱みを補う体制を社内に整えるという風に、想っていることと行動を一致させると、組織に好循環が生まれることになりますし、経営者の方に対して社員さんたちはとても大きな信頼を置き、ものごとがうまく回っていく組織になっていくでしょう。
ここでお伝えしたいのは、「ありたい自分」を描いたらそれだけでよいのではなく、その「ありたい自分」を実現するために「行動」を一致させることが大事だということです。
これが自然にできる人はそれで良いのですが、なかなかそれができている人が少ないので、「ありたい自分」と「現在の自分」を対比して、今何に向かっていくべきか、どんな行動をしたら良いかを、言葉にした方がよいと思います。
それが、「目標と行動計画」です。
始めは本当に、シンプルな目標や行動計画でよいと思いますが、何らかの形で言葉にするとよいと思います。
「目標と行動計画」の設定の仕方についてはここでは詳しく触れませんが、ポイントは「ありたい自分」と「今の自分の行動」を一致させるために設定するものですから、「ありたい自分」と「現在の自分や自分の置かれている状況」をありのままに見て対比し、今はこういうことを目指したらいいんじゃないかと思うことを目標にし、その目標を達成するために特に重要な行動を1~3つほど設定するということをやってみると良いと思います。
まとめ
仕事だけではありませんが、仕事をとおして成長していきたいと思ったら、自分で発想し、決断し、行動し、結果を次に活かすという「成長サイクル」を常にしっかり回していくことが重要です。
「成長サイクル」を回していくためには、それを回し続けていくための内発的なモチベーションが必要になりますが、その内発的なモチベーションを自然に生み出すのが「4つの習慣」です。
どれも決して難しい内容ではないので、この記事の流れで自分なりにトライしてみていただければと思います。
ただ初めてだとなかなかうまくいかないこともあると思いますので、自分が主体的に「4つの習慣」を身に付けようとすることが前提ですが、加えて優れた「ビジネス・コーチ」にサポートしてもらうということも1つのやり方です。
「ビジネス・コーチ」を利用することはあまり身近ではないかもしれませんが、仕事をとおして成長し、自分が望む結果を実現していきたいと思ったら、一線で活躍するスポーツ選手が必ずコーチを必要としているように、高いパフォーマンスを望むビジネス・パースンがビジネス・コーチを利用することが、今後普通になっていくと思います。
「ビジネス・コーチ」も自分の成長やパフォーマンス向上のために、上級の「ビジネス・コーチ」を利用していますからね。
皆さんが、わくわくする自分の「最適な答え」を見つけ、その実現に向けて活き活きと行動できることを、心より願っています。
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